2026.09.24ぶち上げインタビュー

経営者インタビュー「損はしたくないけど、格好つけたい」——その"わがまま"を叶える、車のコンシェルジュ。株式会社オルグージョ・ジャパン代表・森本章太さん

「損はしたくないけど、格好つけたい」——その"わがまま"を叶える、車のコンシェルジュ。株式会社オルグージョ・ジャパン代表・森本章太さん

「損はしたくないけど、格好つけたい」。 そんな、一見わがままにも聞こえる願いを、正面から叶えることを仕事にしている人がいる。株式会社オルグージョ・ジャパン代表・森本章太(もりもと・しょうた)さん。高級車・スーパーカーの売買を専門に、買取・オークション・小売販売のすべてを自社で手がける「リセール」のプロフェッショナルだ。 大阪のやんちゃな少年。中学2年で「自分は自営業で生きていく」と決めた原体験。家賃2万円、洗濯機もない一人暮らしで培ったハングリー精神。会員制ホテルの営業マンとして数々の社長に出会い、24歳で独立。しかし設立初年度は、車が売れても仕入れ資金がなく、知人に頭を下げて金を借りるところ

この記事の要点

  • 01森本さん:そうすると、「あなたなら、リースでアルファードとゲレンデに乗っているほうが車の価値は下がりませんよ」とか、「その社用車を全部リースにしているのは、個人としてはもったいない払い方ですよ」とか、提案が変わってくる。
  • 02そこからは会社を買い取っていって、最終的にはM&Aで100億企業にするのが目標です。
  • 03だから、うまくやろうとするんじゃなくて、「早く失敗しよう」と思ってチャレンジしてほしい。

※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。

高級車を「資産」として捉える——買取・オークション・小売を自社で持つ理由

——まず、事業の内容を教えてください。

森本さん:うちは高級車やスーパーカーの売買をやっている会社です。車の売買って、本来は「買い取る業者」「オークション会場」「小売の販売店」の3つに分かれているんですよ。仕入れて、オークションに流して、そこから販売店が買っていく、という流れですね。うちはその3つを全部、自社で持っているんです。

森本さん:だから、お客さんの乗っている車の次の行き先を、僕らが自分で見つけてこられる。中間のマージンが要らないぶん、高く買い取ってあげられるんですよ。売り手も高く売れて、買い手も安く買える。だから「リセール」なんです。経営者の方って、格好はつけたいけど、損はしたくないじゃないですか。そこを叶えられているのかなと思います。

——「車のコンシェルジュ」という言葉が印象的です。

森本さん:正直、僕は車の性能とかエンジンのことは詳しくないんですよ。だから「この車はこういうスペックで」みたいな売り方はしないんです。まず「年間どれくらい乗りますか?」「その距離でどこに行かれますか?」って生活スタイルを聞くんです。

森本さん:そうすると、「あなたなら、リースでアルファードとゲレンデに乗っているほうが車の価値は下がりませんよ」とか、「その社用車を全部リースにしているのは、個人としてはもったいない払い方ですよ」とか、提案が変わってくる。車を「資産」として管理する視点で売っている。それがうちのやり方です。だから、カーセンサーの口コミも5点満点をいただけているんだと思います。

中学2年で決めた「自営業で生きる」——父の背中と、逆境

——子どもの頃は、どんな性格でしたか。

森本さん:出身は大阪で、かなりやんちゃな方でしたね。親戚にも身内にも、経営者は一人もいなかったです。誰かの背中を見て育った、というのはまったくなくて。

——それでも、早くから「経営」を意識されていた。

森本さん:父親が、ある会社の役員をやっていたんですよ。でも、セクハラみたいな話で失脚させられてしまって。自殺未遂のようなことまで起きて。そのときに僕、決めたんです。「自分は自営業をやろう」って。中学2年生でした。

森本さん:誰かに人生を左右されたくない。その思いが、あの時からずっと自分の芯にあります。

家賃2万円、洗濯機なしの半年——貧乏が育てたハングリー精神

——学生時代はスポーツを。

森本さん:中学1年から高校2年くらいまでバレーボールをやって、途中からボクシングも始めて、5年くらい続けました。バレーは身長で結果が左右されるのが、なんか嫌で。自分と同じ体格で戦えるボクシングのほうが、性に合っていたんですよね。バレーは大阪でベスト8まで行きました。

——大学は関西大学に進まれます。

森本さん:家から近くて、一番賢いところ、という感じで選びました。お金がなかったので、一人暮らしはきついなと思っていたんですけど、結局家を出て。家賃2万円くらいのところに住んでいました。

森本さん:洗濯機も、半年くらい使えなくて手洗いでしたね。冬は靴下を絞ったらサイズが1個上がるから、絞らずに履いていました(笑)。本当に貧乏でしたよ。でも、あの頃にハングリー精神がついた。今の30の世代で、洗濯機なしで半年生活した人なんて、そういないでしょう。

——在学中から、ビジネスを始めていたと。

森本さん:大学4年のときに、個人事業主のような形で営業の仕事をしていました。アルバイトを何人か雇って回して、稼ぎが40万円くらいになったこともありましたね。今思えば、あれがビジネスの入り口でした。

社長に出会える仕事——会員制ホテルからの転身

——新卒ではどんなキャリアを。

森本さん:リゾートトラストという、会員制ホテル(エクシブ)の会社に入りました。将来は自分で会社をやりたい、でも身内に経営者はいない。だったら、社長やオーナーにたくさん出会える仕事を選ぼうと思ったんです。リゾート会員のお客さんって、経営者が多いですから。

森本さん:そこでいろんな社長に会っているうちに、あるお客さんから「ランボルギーニを欲しがっている人がいるかもしれないから、売ってきてよ」と言われて。それが、車の世界に足を踏み入れたきっかけでした。

——2年半勤めて、24歳で独立されます。不安はありませんでしたか。

森本さん:いや、常に不安ですよ。今も不安です。でも僕は、不安があるのはすごく正常なことだと思っていて。不安があるから試行錯誤するんです。大事なのは、その不安とどう向き合うか。不安はずっと不安のままですよ、ずっと。

「一週間で建て替える金がない」——設立初年度の綱渡り

——2021年に、オルグージョ・ジャパンを設立されます。当時、大変だったことは。

森本さん:相手が「売る」と決まっても、こっちに仕入れる(建て替える)お金がないんですよ。1年目に、いいスーパーカーが売れたんですけど、資金がない。1週間で回転させないといけないのに、銀行の融資もまだなくて。

森本さん:結局、知り合いに頭を下げてお金を借りました。「もう売れているのか、まだなのか」って当然聞かれますよね。それでも貸してくれた。むちゃくちゃな話ですけど、信頼で成り立っていた一年目でした。

——社名の「オルグージョ」には、どんな意味が。

森本さん:スペイン語で「誇り」という意味です。

スニーカー転売から車のコンシェルジュへ——「損したくない」を叶える

——なぜ、このビジネスモデルに行き着いたのでしょう。

森本さん:もともと僕、スニーカーがすごく好きなんですよ。学生の頃、セカンドストリートで2,000円くらいで仕入れたネクタイをメルカリで7,000円で売ったり、汚れた靴を仕入れて磨いて売ったり。そういう転売みたいなことをずっとやっていたんです。

森本さん:その"単価がでかいバージョン"が、車なんです。靴やファッションの流行を読むのが得意だったんですよ。「このモデルは絶対に値段が上がる」とか、ある程度予想がつく。その感覚を、車に持ち込んだ。

——狙う相手も、明確ですね。

森本さん:資本主義の国なので、お金持ちを相手にビジネスがしたかったんです。損はしたくないけど、格好はつけたいし、トレンドも追いたい。そういう経営者の"わがまま"を叶える。専門知識でエンジンがどうこう言うんじゃなくて、生活スタイルをヒアリングして提案する。そこがうちの立ち位置です。

東大阪の新ショールーム、そしてドバイ——広がる現在地

——先月、東大阪市に新しいショールームをオープンされました。

森本さん:ずっとショールームを出したいと思っていたんです。ローン会社の金利が上がってきていて、お客さんがローンを組みにくくなっている。今まではこちらから営業をかけることが多かったんですけど、店舗があれば従業員も車を売りやすい。属人的なやり方を、仕組みに変えていく。そのために出しました。

——海外にも足を運ばれているとか。

森本さん:1年ほど前から、一人でドバイに行ったりしています。向こうはハリアーくらいの感覚でウルスが走っていますよ。ヨーロッパの人は、ヴィトンやエルメスじゃなくて、みんなゴヤールなんです。それを見て、僕も持ち物を全部ゴールドに変えました(笑)。世界を見ると、いろいろ気づくことがありますね。

森本さん:ウルスやゲレンデは今すごく人気です。ドバイでもウルスは毎月1台ずつ売れていますね。足回りもいけるスーパーカー、SUV感覚のモデルが強いです。

100億企業へ——「仕事の本質」がわかる組織をつくる

——今後、会社をどうしていきたいですか。

森本さん:前期が10億円くらいだったので、来年には20億、35歳までには30億まで持っていきたい。そこからは会社を買い取っていって、最終的にはM&Aで100億企業にするのが目標です。

——どんな組織をつくりたいですか。

森本さん:仕事の本質がわかる組織ですね。若い子は「生活のために働く」となりがちで、それも間違いではないんですけど、それだけだと必要とされない。少人数でもいいので、仕事の本当の意味を捉えながら踏ん張れる人たちと一緒にやっていきたいです。

挑戦できない君へ——「早く失敗しよう」と思ってほしい

——最後に、一歩を踏み出せない若い世代へメッセージを。

森本さん:やらない後悔と、やった後悔。どっちがいいか、ですよね。僕は、転んでも気にしないことだと思います。失敗しても、100回目で成功したら、最後に勝ったもん勝ちなんで。

森本さん:うまくいくことが成功じゃない。失敗の数だけ強くなれる。だから、うまくやろうとするんじゃなくて、「早く失敗しよう」と思ってチャレンジしてほしい。若いうちから、どんどん失敗してほしいですね。

損はさせない。でも、格好はつけさせる。森本さんの仕事は、車という高価な"わがまま"を、資産に変える営みだ。中学2年で「誰にも左右されない生き方」を選んだ少年は、洗濯機のない部屋でハングリー精神を鍛え、社長たちの隣でリセールの目を養った。100億という数字の先にあるのは、きっと「早く失敗しろ」と背中を押せる大人でいることだ。

会社概要

会社名:株式会社オルグージョ・ジャパン

代表:森本 章太

事業内容:高級車・スーパーカーの売買(買取・オークション・小売販売)を軸としたリセール事業、SNS運用代行

前期売上高:約10億円

取材・文:佐藤大遥(株式会社One Rep)

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