2026.08.23 / ぶち上げインタビュー

【経営者インタビュー】「やりたいと思ったら、すぐやる。不安という文字が来る前に、もう進んでいるんです」——北見唯一の学生起業家が挑む、地域創生。株式会社Skyward Growth・藤本大地さん

「やりたいと思ったら、すぐやる。不安という文字が来る前に、もう進んでいるんです」——北見唯一の学生起業家が挑む、地域創生。株式会社Skyward Growth・藤本大地さん

「やりたいと思ったら、すぐやる。不安という文字が来る前に、もう進んでいるんです」。 北海道・北見を拠点に、カーシェアやレンタカーを扱うモビリティ事業と、SNS運用代行・コンサルティングを手がけるSNS総合支援事業を展開する株式会社Skyward Growth(スカイワードグロース)。その代表を務めるのが、いまなお北見工業大学で研究を続ける現役の大学生、藤本大地(ふじもと だいち)さんだ。 生まれは大阪・八尾。「人と違うことがしたい」少年は、行ける国立大学を求めて縁もゆかりもない北見の地へ渡った。入学と同時に訪れたのはコロナ禍。オンライン中心で「楽しい大学生活ではなかった」と振り返る日々のなか、

この記事の要点

  • 01藤本さん:経営的なことを言えば、一般のお客さんを相手にしたほうが儲かるし、広がるんですよ。
  • 02藤本さん:普通の会社なら、うちくらいの規模では絶対にやらない挑戦だったと思います。
  • 03学生起業家の挑戦は、地方創生のひとつのモデルとして、静かに、しかし確かに動き出している。

※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。

「うちの会社は、ちょっと特殊なんです」——学生・法人・市の事業に絞ったモビリティ事業

——まずは、事業の内容を教えてください。

藤本さん:大きく分けると、モビリティ事業とクリエイティブの事業の二本柱でやっています。モビリティのほうは、カーシェアとレンタカーですね。去年の四月にモビリティの事業を始めました。

——なぜ、モビリティの事業だったんですか?

藤本さん:僕、大阪から大学で北見に来たんですけど、北見っていい街だなと思ったんですよ。海鮮も焼肉も有名で、カーリングもあって、すごく魅力的なんです。でも、北見工業大学って理系の単科大で道外の学生が八割くらいなんですけど、みんな北見の良さを知らずに出ていっちゃうんですよね。

藤本さん:しかも学生の八割くらいが車を持っていない。だったら、モビリティの事業をやろうと思いました。カーシェアっていう二十四時間使えるサービスがあれば、ちょっと観光に行こうとか、大学から離れたお店に行ってみようとか、学生が新しい発見をしてくれる。地域のつながりが増えることに、貢献したかったんです。

「乗り手を、あえて一般向けにしない」という選択

——貸し出す相手を絞っていると伺いました。

藤本さん:そうなんです。基本的には一般向けというより、学生とか、法人とか、市の事業のお客さんに貸しています。ここが、うちの会社のちょっと特殊なところなんです。

藤本さん:経営的なことを言えば、一般のお客さんを相手にしたほうが儲かるし、広がるんですよ。でも、やっぱり変なお客さんも一定数いる。そうしたら、手伝ってくれている学生たちにクレーム対応をさせることになる。それが、僕はあんまり好きじゃないんです。だったら、少し相手を絞ってやるほうがいいんじゃないかな、と思っています。

藤本さん:最近は北見市が推進している二拠点居住で北見に来られた方にレンタカーを貸し出しています。本州の会社に属しながら北見でリモートで仕事をする。ほんと、地域に貢献したいという思いでやっています。


(株)ネルプ・グリン(株)正規代理店として——もう一つの柱、SNS総合支援事業

——もう一つの柱が、SNSの事業ですね。

藤本さん:はい。二本柱のうち大きいのが、SNS総合支援事業です。SNS全般の運用代行やコンサルをやっています。

——ここに、あるご縁が関わってくるとか。

藤本さん:そうなんです。うち、(株)ネルプ・グリン(株)っていう会社の正規代理店になっています。これが、令和の虎に出ている稲葉さんの会社なんですよ。稲葉さんはiステップやXステップなどの、インスタグラムやXなどの自動チャットボットを作られている方です。そのツールを扱いながら、運用代行やコンサルを提供している、という繋がりですね。

藤本さん:普通の会社なら、うちくらいの規模では絶対にやらない挑戦だったと思います。正直、正規代理店になるのはかなりお金がかかりました。でも、攻めたんですよ。そうしたら、稲葉さんが僕の応援ということで、わざわざ来てくださいました。そこから北見の中の人脈も一気に広がりました。

来月から、三つ目の事業へ

——来月から、新しい事業も始まると。

藤本さん:家電販売事業を、今月末から始めようとしています。北見に限らずですけど、小さい会社の社長さんって、決裁権を持っているのに忙しすぎて動けないんですよね。「家電を買ってきて」と言われても、Amazonだとこっちまで二、三日かかっちゃう。

藤本さん:だったら、「うちが届けますよ」と考えました。値引きはしなくていいから、とにかく早く届けてほしい、というニーズが結構あるんです。うちも儲かるし、これはいいなと思いました。これが動けば、モビリティ・SNS・家電の三事業体制になります。いまはまだ二事業、という段階ですね。


大阪・八尾で生まれた、「人と違うことがしたい」少年

——ここからは過去のお話を。どんなお子さんでしたか?

藤本さん:生まれは大阪の八尾で、梅田に行くのに電車で三、四十分くらいの街です。自分で言うのもなんですけど、よくよく考えると、変わっていたと思うんですよね。他の人と一緒のことはしたくない、というのが昔からありました。変わったことをするのが、好きだったんです。

——たとえば、どんなところが?

藤本さん:小学校で卓球、中学でテニスをやっていたんですけど。今思えば、プロでもないのに「このテニスラケットは重さが百グラム違うから」とか、変なこだわりを言ったりしていました(笑)。高校は特に部活もせず、特進クラスにはいたんですけど、勉強は全くできませんでした。まわりからは、ずっと「変わってるね」と言われていましたね。


コロナ禍の大学生活と、ヒカルさんとの出会い

——北見工業大学に進んだ理由は?

藤本さん:正直、行ける国立大学がそこしかなかったんです。だから「ここに行きたい」という強い思いがあったわけではありませんでした。しかも入学したのが2020年で、その年にコロナが始まったんですよね。

藤本さん:だから、大学生活のスタートがコロナだったんです。三年生までずっとオンライン中心で、学生時代の思い出って、実はそんなにないんですよ。楽しい大学生活だったかというと、うーん、という感じですね。

——そこから、どうやって経営に興味を?

藤本さん:おうち時間が長かったので、YouTubeをひたすら見ていました。そこでヒカルさんのYouTubeに出会って、「起業をしてみたいな」と思い始めたんです。もう六年前なので、どの動画だったかは覚えていないんですけど(笑)。いまもファンで見ています。稲葉さんの会社も、ヒカルさんと一緒にやっている繋がりなので、そういう意味でも縁を感じますね。


「不安という文字が来る前に、もう進んでいる」——学生起業という決断

——在学中の起業。不安はありませんでしたか?

藤本さん:不安が、ないんですよね。お金がない、みたいなことはありますけど。僕の頭の構造的に、やりたいなと思ったらすぐやるので、不安という文字が来る前に、もう進んじゃっているんです。そのあとで「これ、うまくいかないな」「やばいな」と思うことはありますけど(笑)。

——もともと、行動力のある方だったんですね。

藤本さん:そうですね。会いたい経営者がいたら、東京まで行ったりしていました。今思えば、小さい頃から仲良くなりたい子には自分から話しかけていました。それが行動力だったのかなと思います。やりたいことがあるなら、まず動く。それはずっと変わらないですね。


一番しんどかったのは、人脈づくりだった

——事業が軌道に乗るまで、どんな苦労がありましたか?

藤本さん:今も軌道に乗っているかと言われると怪しいところはあるんですけど(笑)、一番しんどかったのは人脈ですね。事業って、一人社長だったとしても、絶対に一人ではできません。協力してくれる人、ちゃんとアドバイスをくれる人を作らないといけない。それが本当に難しかった。

藤本さん:しかも北見には学生起業家がほぼいなくて、大学は北見工業大学しかない。そうなると、悪い大人も近寄ってくるんですよ。だから、人を選びながら付き合わないといけない。「仲良くなってくれ」と言えばなってくれる人はいても、信頼できる人を見極めるのが一番難しかったんです。

藤本さん:ありがたいことに、車業界のボスのような方が最初に関わってくださいました。おかげで変な勧誘に流されることもなく、いまに繋がっています。まずは東京じゃなく、北見の企業から攻めないといけないな、と気づけたのも大きかったですね。


役員一人と、手伝ってくれる学生たち——攻めるために、キャッシュが欲しい

——いまの会社の規模を教えてください。

藤本さん:役員がいるだけで、あとはみんな手伝い、ボランティアに近い形です。雇用はしていなくて、令和の虎のイベントで一日拘束するようなときに、少し報酬を出したりする程度です。車は今三台ですが、今月一台、来月二台と、これから増やしていく予定です。

——いま抱えている課題は?

藤本さん:一番は、お金がないことですね。僕がどんどん突っ込んでいくタイプなんです。ヒカルさんも言っていましたけど、ハイリスク・ハイリターン。大きい投資を見誤らなければ、大きいリターンが返ってくると信じているんです。

藤本さん:稲葉さんの正規代理店も、攻めたからこそ実現して、そこから人脈も広がった。だから、やっぱり攻めないといけない。キャッシュがあればあるほど突っ込めるので、とにかくキャッシュが欲しい。あとは事業が大きくなってきたので、人も欲しいですね。今期が十一月までなので、十二月から始まる三期目は、さすがに少し落ち着かせようとは思っているんですけど(笑)。


北見の財政難を、十年後に「あの時とは違うね」と言わせたい

——今後の展望を教えてください。

藤本さん:出身が大阪なので、いずれは八尾でも、ゆくゆくは東京でも挑戦してみたい気持ちはあります。でも、一旦は北見で、と考えています。

藤本さん:北見って、財政難で「第二の夕張になるじゃないか」とまで言われているんですよ。でも、それが十年後には「全然違ったね」と言われるようになってほしい。うちのモビリティやSNSが、その一つの要素として貢献できて、「あのおかげ、とまでは言わないけど、要因の一つになれたね」と言われたら、うちの会社としては成功なのかなと思っています。

藤本さん:地域創生のモデルを北見でつくる。それがうまくいったら、大阪や東京にも広げていく。そういう順番で考えています。


「まずは、小さく行動を」——一歩踏み出せないあなたへ

——最後に、挑戦したくても一歩踏み出せない若い読者へメッセージを。

藤本さん:もう、本当に、行動だと思うんですよね。でも「何を行動したらいいんだ」となると思うので、小さい行動でいいと思うんです。ぶち上げチャンネルに出ている社長さんたちも、きっと毎日小さい失敗をして、軌道修正しながら大きくしている。

藤本さん:うちはモビリティ事業なので最初からお金が必要でしたけど、たとえばSNSなら、大きなお金はいらない。本を読んで勉強するより、まず自分でSNSを上げてみる。そうすると「あ、こういうほうが伸びるんだ」と分かることがある。小さい成功をいっぱい積み上げて、反復的に行動していってほしい。

藤本さん:やりたいことがあるなら、行動しましょう。僕はいつも、それだけを伝えています。


「起業したい」で終わってしまう人が多いなかで、藤本さんはただ一人、行動し続けている。不安を感じる間もなく動き、失敗しながら軌道修正する。その先に見据えるのは、自分の成功だけではない。惚れ込んだ北見という街の未来だ。学生起業家の挑戦は、地方創生のひとつのモデルとして、静かに、しかし確かに動き出している。


会社概要

会社名:株式会社Skyward Growth

代表取締役:藤本 大地

事業内容:モビリティ事業(カーシェア・レンタカー)/SNS総合支援事業(SNS運用代行・コンサルティング)※家電販売事業を新たに開始予定

所在地:北海道北見市


取材・文:佐藤大遥(株式会社One Rep)


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