2026.10.08 / ぶち上げインタビュー
【経営者インタビュー】「30歳、売上240万円。朝から夜まで、ずっと動悸がしていた」——薬剤師から組織コンサルへ、売上を17倍にした男。株式会社BeMore・若林雄太さん

「30歳、年収80万円。朝起きてから夜寝るまで、ずっと動悸がしていました」 神奈川県・藤沢を拠点に、組織開発・組織コンサルティングを手がける株式会社BeMore。代表を務める若林雄太(わかばやし・ゆうた)さんは、リカルド・セムラーの「セムコスタイル」というメソッドを武器に、研修・会議のファシリテーション・評価制度づくりを、たった一人で「まるっと」引き受ける。年間コンサルティングのリピート率は100%。全てのお客様が毎年リピートされている。 30歳、年収80万円、実家暮らし、貯金なし。 まさに「どん底」から、若林さんはどうやって這い上がったのか。 その原点と現在地、そして見据える未来を伺った。以
この記事の要点
- 01若林さん:組織づくりって、評価制度はこの会社、ビジョンはこの会社、研修はこの会社、みたいに発注先がバラバラになるケースが多いんですよ。
- 02若林さん:組織って、経営者のビジョンやゴールがあって、それを再現するための装置が、採用・研修・目標設定・会議・評価制度だと思っているんです。
- 03会社の成長に伴って、経営者一人では判断しきれなくなってきた段階の組織づくりをご支援しています。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
「研修・会議・評価制度を、一つの思想でつなぐ」——組織づくりを、まるっと一社で
——まず、現在の事業内容を教えてください。
若林さん:組織づくりって、評価制度はこの会社、ビジョンはこの会社、研修はこの会社、みたいに発注先がバラバラになるケースが多いんですよ。でもBeMoreにご依頼いただければ、研修も、会議のファシリテーションも、評価制度も、まるっとできる。なので、共通の思想を基に組織設計をご支援できるというのが一つのポイントです。
——他社との違いはどのあたりに?
若林さん:僕は、会議や研修で決めたことを、評価制度や日々の運用に落とし込むところまで関わります。例えば、会議で決まったことや作った言葉を評価制度に落とし込んで、、社労士さんとの打ち合わせに参加して、就業規則の修正にも加わって、それをベースに従業員の方の評価面談までやる。この前はある企業様で、40人程の社員面談に同行させていただきました。そういった実務のところまで深く一緒にやれる、というのが喜んでいただいているところだと思います。
若林さん:組織領域は、営業やマーケ、採用領域に比べると投資対効果がわかりにくいと思います。それでも、お客様に毎年リピートしていただいている。これがすごく誇りに感じている実績です。
「逆転するには、社長しかない」——鎌倉高校からの焦り
——若林さんは、もともと薬剤師だったそうですね。
若林さん:そうなんです。僕は神奈川県藤沢市の生まれで、高校は鎌倉高校という、スラムダンクの聖地と言われている学校です。友人はみんないい会社に入っていくんですよ。
若林さん:でも僕は一浪していて、大学では一留して、しかも薬学部だったので、卒業が26歳。社会人1年目が26歳なんですよ。「これはやばい」と思って。逆転するには、もう社長になるしかない、と。それで、薬剤師の薬局の社長になろうと思ったんです。
何も調べずに行った、静岡での誤算
——それで、静岡へ?
若林さん:後継者がいない地域で、そこそこの規模の薬局だったらいけるんじゃないか、と思って、ゆかりもない静岡県で就職したんです。でも、全然ちゃんと調べていなくて。行ってみたら、その会社には社長の娘さんがいて、その人が継ぐことがもう決まっていた(笑)。何も知らずに行って、「あらら」と。
若林さん:じゃあ自分で薬局を開業しようかとも思ったんですけど、開業には借り入れが数千万円かかる。しかも、正直に言うと、薬剤師の仕事が自分には全然合ってなかったんですよ。もう、人生やばいなと思って。
「親と、あと300日しか会えない」——Twitterで見つけた転機
——そこから、どう動いたんですか。
若林さん:当時、薬剤師の新卒採用のリクルーターみたいなこともやっていたんです。採用活動は楽しかったです。それで、Twitterで「そんな仕事ないかな」って探していたら、たまたま薬局業界の新卒採用のコンサルティング会社を見つけて。DMを送ってミーティングして、給料も聞かずに入っちゃいました(笑)。
若林さん:ちょっと話がずれるんですけど、静岡にいた時、親と生涯であと何日会えるんだろう、って考えたことがあって。お盆とお正月とゴールデンウィークで、年間10日ぐらい。親があと30年くらい生きられるとしたら、残り300日ぐらいしかない、これは大きな後悔になりそうだなぁと思って、近くに帰れる、っていう副次的な効果もあって、転職を機に引っ越しました。
薬剤師が、いきなり「すごい会議」のコーチの下へ
若林さん:転職した会社は、僕がまだ社員2人目の会社で。実は、あの「すごい会議」のコーチだった人が創業した会社でした。薬剤師をやっていた人間が、急に「すごい会議」のコーチの下で働くことになって。でもそこで、コンサルティングとは何か、お客様を支援するとは何か、をめちゃくちゃ鍛えられました。
——採用コンサルから、なぜ組織へ?
若林さん:良い若手が採用できてくると、お客様から「せっかく採用した子たちが辞めない会社にしたい。」って言われるようになったんです。でも、うちは採用コンサルの会社だったので、組織のノウハウは何もなくて。
「11ヶ月、売上ゼロ」——年収80万円、どん底の30歳
——組織のノウハウは、どこで手に入れたんですか。
若林さん:株式会社ENERGIZEさんという会社があって、秦卓民さんという社長がいらっしゃるんですけど、その秦さんも、もともと「すごい会議」のコーチだったんです。前の会社の社長と秦さんが知り合いで、「うち、今、組織サービスを一個持ってるからやってみる?」となって。それが「セムコスタイル」というサービスで、代理店としてノウハウを使わせてもらう仕事を始めたのが、2022年ぐらいですね。
若林さん:ちょうどそのタイミングで、報酬設計をフルコミッションに変えたんですよ。当時、僕は29歳か30歳。最近組織のサービスを始めましたって人に相談したい経営者なんて、いないじゃないですか(笑)。営業も自分でやったんですけど、全く契約が決まらなくて。多分、11ヶ月ぐらい売上ゼロでした。
——11ヶ月、ゼロ……。
若林さん:最後の最後に、1社からお仕事をいただくことができました。でも給料は売上の3分の1という報酬設計だったので、その1年間の年収が80万円とか。全然生活できなくて、実家に帰って、貯金もなくなって。しかも、その時ちょうど離婚もしていたので、バツイチで。もう「30歳ヤバい男の役満状態」みたいな状態で、朝起きてから夜寝るまで、ずっと動悸がしている。そんな感じで仕事をしていました。
——その苦しい時期を、何が支えてくれたのでしょうか。
若林さん:その時期に関わってくれた、ENERGIZEさんのコーチの存在は大きかったですね。成果が出ていない僕に対しても、才能があるという前提で関わり続けてくれたんです。上手くいかないことがあった時も、何が起きて、それを僕がどう受け止めているのか、一緒に整理してくれました。
若林さん:自分が成果を出せない立場になって初めて、成果が出ない人の気持ちもわかったし、どんな関わりがあると、もう一度やってみようと思えるのかを体感したんです。成果を求めながらも、その人の自尊心や主体性を損なわずに関わる。この経験が、今のお客様への関わり方の土台になっています。
若林さん:そこから、少しずつ売上が立つようになって。独立したいという思いもあって、前の会社と話し合いをして、2024年に独立させてもらって、今に至る、という感じです。
リカルド・セムラーの組織メソッド
——BeMoreが使う「セムコスタイル」とは、どんなメソッドですか。
若林さん:リカルド・セムラーさんは、日本ではあまり知られていないんですけど、海外だとボディーガードが付くレベルの方です。ハーバードビジネススクールで客員教授をしたり、会社自体がMBAのケーススタディに取り上げられたり。稲盛和夫さんが会社を見学に来られたこともあるそうです。
トップダウンを、捨てた経営
若林さん:彼は21歳の時に、お父さんから倒産寸前の工場の会社を継げと言われたのですが、そこから20年間、毎年売上を%伸ばしていき、現在は売上300億のコングロマリット企業になっています。また、ブラジルの平均離職率は20%だったのですが、彼の会社は2%でした。そして、ブラジルの大学生が働きたい会社ランキングでも1位を取っていたそうです。
若林さん:彼が実践したのは、トップダウン型はもう機能しなくなるから、各チームが自分たちで業績目標を立てて自走していく、という考え方です。そして、彼が作った組織モデルを、他の企業様でも再現性を持って運営できないか、と考えて世界中で展開を始めました。現在、日本を含む14カ国ぐらいで、僕みたいなコンサルタントがこの考え方を広げていて、日本で200社以上のお手伝いをしてきています。
——具体的には、何をするんですか。
若林さん:組織って、経営者のビジョンやゴールがあって、それを再現するための装置が、採用・研修・目標設定・会議・評価制度だと思っているんです。よくご相談いただくのが「生産性が低いから評価制度が必要」とか「辞めちゃうから採用基準を整えたい」のようにご依頼をいただきます。ただ、課題特定がズレているケースが結構あります。課題特定がズレたところに施策を打ってもあまり効果が出ないので、何が問題なのかを見極めてから取組むことで、結果的に会社の業績は良くなりますし、社長が人の悩みに悩まれる時間やお金を、事業課題にシフトしていくことができます。
「会社のお医者さん」——数字で表れる、組織の変化
——実際に、どんな成果が出ているんですか。
若林さん:ある会社さんは、もう5年程ご支援させていただいていて、当時従業員35〜40人、当時創業10年のタイミングでした。社長とゴルフをご一緒した後に、スマホでLINEを見せてもらったら、40件くらい連絡が来ていて。「これを車で返さないと仕事に戻れない」「これがなかったら、もっと経営に集中できるのに」と仰っていました。
若林さん:それで、会社のトップ何名かに組織の考え方や哲学を学んでいただいて、権限委譲を進めていきました。今では業績目標も評価制度も、ミッション・ビジョン・バリューも、社員の方と作れる状態になりました。社長の意思決定率も6割ぐらい減った結果、新規事業にリソースを使えて、4年で売上倍になり、かつ優秀な人が辞めなくなった、という変化もありました。
「管理職やりたくない」が、8人の立候補に
若林さん:他にも、離職の補填費用で年間2000万程使われていた企業様の離職率が下がり、補填採用コストが1500万円削減できたケースや、若手が「管理職をやりたくない」と言っていた企業様、社長が募ってもなかなか手を挙げてくれなかった状態だったのが、1年間の研修の半年目ぐらいで、8名の方が「管理職をやりたいです」と手を挙げてくれました。各企業様、組織の課題はバラバラです、打ち手がハマると、結構早く成果が出るんです。
「サーファーが海に行くように」——2040年に向けて
——若林さんが描くビジョンを教えてください。
若林さん:サーファーが海に行ったり、ゴルファーがゴルフ場に行くように、そんな気持ちで仕事ができる会社が、より増えたらいいなと思っています。
若林さん:2040年までに、日本の生産年齢人口が1300万人いなくなると言われていて。それって、今の東京都の人口がまるまる労働市場から消えるようなものなんですよ。そうなると、会社はお客様だけではなく、求職者や社員からも選ばれないと存続できない時代になってきます。ですので、組織変革を始めるには良いタイミングではないかと思っています。
——どんな経営者に、力になれると考えていますか。
若林さん:弊社のお客様は、年商5億円前後以上、従業員30人以上の企業様が多いです。会社の成長に伴って、経営者一人では判断しきれなくなってきた段階の組織づくりをご支援しています。
——最後に、これからの展望を聞かせてください。
若林さん:僕自身、出会う思想によって、働くということへの向き合い方が、大きく変わりました。僕の組織の考え方が完全な正解ではないと思ってますが、そういう機会を働く人に提供していくこと自体が、すごく大事だと思っています。
若林さん:偏った資本主義思想とか、偏った成功哲学って、一部の勝者しか生まないと思うんですよ。みんなが年商100億を目指して上がっていっても、どこかで苦しくなる。それよりも、働くということが、自分の人生を充実させてくれる。そういう付き合い方が世の中に広まることに、僕がこの仕事をしてる意義があるのかなと思います。
会社概要
会社名:株式会社BeMore
設立:2024年
代表:若林 雄太
事業内容:組織開発・組織コンサルティング(研修/会議ファシリテーション/評価制度設計/目標設定/採用支援を年間コンサルティングで提供)
拠点:神奈川県
若林さんのnote:https://note.com/y_wakabayashi/n/n35de3a34ac26
取材・文:黒澤優一(株式会社One Rep)
ぶち上げch noteインタビュー希望の方はこちら → https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc7QMCdWjv_M00Nxb53MkgpI3rNBzn6sn8gP6Ac20UVlcLxew/viewform
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