2026.08.27 / ぶち上げインタビュー
【経営者インタビュー】「どうせやるなら、日本一」——16歳で型枠の世界に飛び込んだ男が、福岡から関東一円へ。藤中組 代表・藤中司さん

「マジで、楽して稼げるもんはない」。 型枠工事を専門に手がける藤中組。福岡で立ち上げられたこの会社は、いま拠点を東京・板橋に移し、関東一円の現場を回っている。率いるのは、代表の藤中司さんだ。 16歳で型枠の世界に飛び込み、車好きが高じて一度は板金塗装の道へ寄り道。手取り13万円の日々に「このままではまずい」と型枠へ戻り、20歳で独立した。しかし、TikTokに書き込んだ一つのコメントをきっかけに単身で東京へ出た彼を待っていたのは、「人」という大きな壁だった。 そんな藤中さんに、その原点と現在地、そして見据える未来を伺った。以下、藤中さん。 ―――――――――― 【プロフィール】 会社名:藤中組
この記事の要点
- 01中学1、2年ぐらいになると遊びのほうが盛んになって、最後は学校も給食だけ食べに行くような感じでしたね。
- 02昔から車が大好きで、車関係の仕事がしたくて、19歳のときに板金塗装の会社に勤めたんです。
- 03それを1年間我慢して続けたんですけど、お金がないと生活がちょっと狂ってくるんですよね。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
「よその解体屋には負けない」——スピード・綺麗さ・安全性への自信
——まずは、いまのお仕事について教えてください。
藤中さん:型枠工事をやっています。もともと福岡で始めて、いまは東京・板橋を拠点に、関東一円の現場を回っています。
正直、仕事はめちゃくちゃハードです。でも、その分の自信はある。スピード、綺麗さ、安全性。よその解体屋には負けない、圧倒的な自信があります。
——それだけの自信は、どこから来るんですか。
藤中さん:やっぱり、自分でずっと現場に立ってやってきたからだと思います。
ここだけは強調したいんですけど、マジで、楽して稼げるもんはないんですよ。僕でもつらいです、自分でやってるんで。でも、それなりにやってるから、それなりの評価もちゃんとある。そういう感じですかね。
サッカー、空手、野球——スポーツに明け暮れた少年時代
——子どもの頃は、どんなことに夢中でしたか。
藤中さん:ずっとスポーツですね。小学1年生から3年生までサッカーをやって、3年生から6年生までは空手。5年生からは野球も始めて、同時進行でやっていました。
空手は6年生まで、ずっと続けましたね。
一番おもしろかったのは、野球
——その中で、一番おもしろかったのは?
藤中さん:やっぱり野球ですね。中学に上がってからも続けたんですけど、なかなか試合に出られる機会がなくて。ユニフォームをビリビリに破ったりして(笑)。中学の頃は、あんまり活躍できなかったです。
オール1の通知表、そして16歳で働き始めた
——学校の成績は、どうだったんですか。
藤中さん:もう、オール1ですよ(笑)。完全に遊びとスポーツに明け暮れてました。中学1、2年ぐらいになると遊びのほうが盛んになって、最後は学校も給食だけ食べに行くような感じでしたね。
——高校には進まなかったんですね。
藤中さん:はい、高校は行ってなくて、受験もしていないです。16歳から働き始めました。
周りも中卒が多くて、正直やんちゃばっかりでした。でも、大変だったっていう記憶はなくて。当時は普通に楽しかったんですよ。バイクが大好きで、もう毎日、24時間バイクに乗ってるみたいな感じでした。
「家から近かった」——たまたま選んだ型枠の道
——型枠の仕事は、どうして選んだんですか。
藤中さん:それが、すごく適当なんですけど(笑)。家から近い職場を探したときに、たまたま型枠だった、っていうだけなんですよ。
そこで16歳から19歳まで働きました。
手取り13万円、車が好きで寄り道した1年
——一度、別の仕事に移った時期もあったとか。
藤中さん:はい。昔から車が大好きで、車関係の仕事がしたくて、19歳のときに板金塗装の会社に勤めたんです。若い頃は1年で5台くらい乗り換えたぐらい、車にはのめり込んでいました。
でも、給料が相当安くて。手取りで13万、14万ぐらい。それを1年間我慢して続けたんですけど、お金がないと生活がちょっと狂ってくるんですよね。これはやばいなと気づいて、また型枠の、前の会社に戻りました。
車の仕事は始まりが9時、10時と遅くて、終わるのも遅い。型枠のほうが稼げるし、時間の余裕もありましたから。
TikTokのコメント一つが、東京進出のきっかけだった
——独立を意識したのは、いつ頃だったんですか。
藤中さん:18歳ぐらいから考えていて、実際に独立したのは20歳のときです。
最初は沖縄でそのままやっていくつもりだったんですけど、ちょうどコロナが重なって。沖縄はホテル関係の工事が多かったので、それが全部ストップしてしまって。それで福岡に戻りました。
「明日から東京行くぞ」——3日間で決めた移転
——福岡から東京へ。どんな経緯があったんですか。
藤中さん:これも本当に適当なんですけど(笑)。当時は18歳の従業員の子と、僕の2人だけでやっていました。
ある日、TikTokで型枠工事の人がライブをやっていて、なんとなく「単価ってどれぐらいですか?」ってコメントしたんですよ。そしたら、予想以上にめちゃくちゃ高くて。「うわ、東京いいやん」と。
次の日にはその子に「もう明日から東京行くぞ」って言って。1週間ぐらい「行くか?」「行きます」ってやり取りして、決めました。
——実際の動きも早かったんですね。
藤中さん:福岡の現場をきれいに終わらせて、同時進行で東京にどんどん営業電話をかけて。3日間だけ東京に出てきて、アパートの契約と営業、仕事の確約まで取って、いったん福岡に帰りました。
その18歳の子は去年の2月に辞めたんですけど、いまも東京にいて、仲良くしています。変な別れ方はしていないので。
「一番大変なのは、人」——2年で15〜16人、残ったのは1人
——会社をやってきて、一番大変だったことは何ですか。
藤中さん:やっぱり、人ですね。入ってもすぐ出ていく。出入りが激しくて。
東京に来てから2年で15〜16人は入ってきたんですけど、いま残っているのは1人です。職人の世界は、本当に入れ替わりが激しいんですよ。
——その課題に、どう向き合っていますか。
藤中さん:いまはInstagramで、社内の雰囲気とかを自分なりに発信しています。求人のためもあるし、僕のことを知ってほしいっていう気持ちもあって。
実際、それで採用につながった人も何人かいます。これからはプロにお願いして、もっと力を入れていこうと思っています。
有給もボーナスもある——「してもらえなかったこと」を、次の世代へ
——建設業界には、いわゆる"ブラック"なイメージもあります。
藤中さん:ありますよね。職人って、残業代もなくて有給もない、みたいな会社が本当に多いんですよ。僕も勤めていた頃、有給なんてもらったことがなかった。
だからこそ、自分がやりだしてからは、してもらえなかったことをやってあげたいんです。有給も、ボーナスも。自分がしてもらえなかったことを、うちに来た人にはやってあげたい。
よそよりホワイト、でも仕事はハード
——働き方の面では、どんな会社にしたいですか。
藤中さん:僕は仕事よりプライベート派なんですよ。だから、みんなにもプライベートを優先してほしい。ちょっとした用事でも、休みたいなら休んでもらっていい。野球観戦に行きたい、とかでもいいんです。
よそよりはホワイトだと思います。ただ、仕事はめちゃくちゃハードです。だからみんな続かない。でも、それ以上のことは僕もやっているし、給料は高いし、時間もつくれる。楽して稼げる仕事ではないけど、やった分の評価はちゃんとある。そういう会社です。
「どうせやるなら、日本一」——見据える先にあるもの
——今後、会社として達成したい目標はありますか。
藤中さん:身近に、板橋区で従業員が50人以上いる解体屋さんがいるんです。同じ職種でそこまでやっているのは、本当にすごいなと思う。
だからこそ、まずはそこを抜かしたい。どうせやるなら、日本一を目指したいですよね。
夢を持った人と、一緒に——これから職人を目指す人へ
——最後に、これから職人の道を目指す人へメッセージをお願いします。
藤中さん:どんな夢でもいいんです。夢を持った人と、一緒にやっていきたい。お互いに協力し合える仲間がほしいですね。
食らいつきたいっていう欲と、責任を持ってやれること。そして、家族みたいに守るものがある人。そういう人と働きたいです。あとは、シンプルに稼ぎたい人。ぜひ、来てほしいです。
適当だと笑いながらも、藤中さんの選択の一つひとつには、一貫した芯が通っている。自分がしてもらえなかったことを次の世代へ返し、楽して稼げる仕事などないと言い切りながら、その分の評価を約束する。福岡から関東一円へ——藤中組の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
会社概要
会社名:藤中組
事業内容:型枠工事業
代表:藤中 司/拠点:東京都板橋区(関東一円で施工)
取材・文:佐藤大遥(株式会社One Rep)
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