2026.08.17ぶち上げインタビュー

経営者インタビュー「本当にやりたいなら、放っておいてもやっている」——AIを「魔法」から「実装」に変える、現役大学生社長。Not a Square・酒井涼雅さん

「本当にやりたいなら、放っておいてもやっている」——AIを「魔法」から「実装」に変える、現役大学生社長。Not a Square・酒井涼雅さん

「やりたい」と言いながら動けない人は多い。でも本当にやりたいことは、放っておいても勝手にやっている20歳、そう言い切る青年がいる。 兵庫県神戸市出身の酒井涼雅さんは、現役大学生でありながら「雇わずに持てる、御社専属のAI部門」をコンセプトに掲げるAI開発事業Not a Square(NaS AI)を運営する。以下、酒井さん。 高校1年生でシリコンバレーに渡り起業家精神に触れ、2024年には日本最大のアプリ開発コンテスト「アプリ甲子園」でファイナリスト・企業賞を受賞。関西学院大学発の学生団体Tech.Uniの代表も務めながら、企業の現場に入り込むAI導入支援に挑んでいる。 今回は、そんな酒井さん

この記事の要点

  • 01一般的に、提案だけして『こうしたらいいですよ』と伝えるだけでは現場が何も変わらない実情を目の当たりにして、口だけの寄り添えないコンサルに苛立ちを覚えるタイミングがありました。
  • 02僕はちゃんと価値を届けるところまでやりたいと思って、今のスタイルに行き着きました。
  • 03技術がこれからの社会でますます重要になる中で、それではダメだと強く思っています。

※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。

「雇わずに持てる、御社専属のAI部門」——Not a Squareという事業

**――改めて、Not a Squareの事業内容を教えてください。**

酒井さん:一言で言うと、企業さんの中に入らせていただくAI導入支援ですね。現場主義で、泥臭くやっています。一般的に、提案だけして『こうしたらいいですよ』と伝えるだけでは現場が何も変わらない実情を目の当たりにして、口だけの寄り添えないコンサルに苛立ちを覚えるタイミングがありました。僕はちゃんと価値を届けるところまでやりたいと思って、今のスタイルに行き着きました。

**――「雇わずに持てる、御社専属のAI部門」というコンセプトが印象的でした。この言葉はどのように生まれたんですか?**

酒井さん:これは本当に、ブランディングとしてどう伝えるとわかりやすいかを考えて、紙に書きながら考えたんです。『人で例えるとこんな感じです』というシンプルな説明として生まれました。


1社目の建築業クライアントと、業界構造への違和感

**――具体的にはどんな企業に入られているんですか?**

酒井さん:まだ始めて1ヶ月ほどで、今は建築業の会社さんに1社入らせていただいています。外回りの営業管理や引き継ぎ業務のAI化、それから経理や労務のチェック業務のオートメーションですね。SaaSを買うと高くつく部分も、AIを使えばボタン一つでできるはずなんです。

**――事業を進める中で、構造的な難しさを感じることはありますか?**

酒井さん:ありますね。補助金を使ってAI導入をしている会社の多くは、実際に現場でものを作ってサービスを届けるところまでやると補助金が効かなくなるという構造的な問題があったりします。あと単純に、そこまで泥臭いことをしたがる人が少ない。AI業界なのにエンジニアリングに詳しい人が意外と少ないんですよね。技術がこれからの社会でますます重要になる中で、それではダメだと強く思っています。


テニス、パルクール、ダンス——スポーツ漬けだった少年時代

**――少年時代はどんな性格で過ごされていたんですか?**

酒井さん:小学生の頃は本当にスポーツしかしていなかったような人間でした。テニス、パルクール、ダンスといろいろやっていて、とにかく体を動かすことが好きだったんです。今もエンジニアリングをしているのに、めちゃくちゃフットワークが軽いとよく言われるんですが、それはこの頃の名残かもしれません。


コロナ禍の中学2年生——人生を見つめ直した日々

**――性格が変わるきっかけがあったそうですね。**

酒井さん:中学2年生の頃、ちょうどコロナ禍と重なって。弟がテニスにすごく打ち込んでいて、自分はそこまで打ち込めなかったのはなぜだろうと考えるようになりました。その時期に人生を見つめ直して、勉強にも打ち込み始めたんです。特に英語は、喋れたら世界中の人とつながれると思って夢中になりました。あれでめちゃくちゃ人生が変わりましたね。


高校1年、シリコンバレーで決まった「とにかく形にする」というモットー

**――高校1年生でシリコンバレーに渡ったそうですが、きっかけは?**

酒井さん:神戸市がシリコンバレー行きの起業家育成プログラムを出していて、たまたまそのポスターが目について面白そうだなと。1ヶ月ほど滞在しました。もともとその前からプログラミングを始めていて、『すごいアプリを作りたい』という気持ちが強かったので、その本場に行けるのが単純に嬉しかったんです。

**――現地ではどんな学びがありましたか?**

酒井さん:初めて現地の起業家の方と話した時、すごく刺激を受けました。ゼロイチで何かを作って、それを実際に社会に届けるところまでやるのが当たり前のように行われていることに驚いて。『とにかく形にする』という僕のモットーが、この時に決まりました。何かを形にできる人間じゃないと、何も残せないし、何も生み出せないと思っています。


「言語」への興味から始まった、プログラミングとの出会い

**――プログラミングを好きになったきっかけは?**

酒井さん:中学2年生の頃から興味を持っていたんですが、通っていた塾で『君は型にはまらない癖があるからやめなさい』と言われて辞めさせられたことがあって。逆にそこからロボット作りなど自由にやれる環境に移ったんです。もともと僕は『言語』が好きで、プログラミングも言葉でできている。言葉でこれだけのものが作られて、自分たちの環境に影響を与えているのは素晴らしいなと思ったのが原点です。


[![Image 1: 画像](https://assets.st-note.com/img/1786920222-eZFau3Dmj89QnOKMrALvGX46.jpg?width=1200)](https://assets.st-note.com/img/1786920222-eZFau3Dmj89QnOKMrALvGX46.jpg?width=2000&height=2000&fit=bounds&quality=85)

6年続く団体を受け継いで——Tech.Uni代表として

**――Tech.Uniの代表も務められていますが、どんな団体なんですか?**

酒井さん:関西学院大学発のインカレ団体で、もう6年ぐらい続いている団体を受け継がせてもらっています。規模が大きくなりすぎて、まとまりを保つのが難しくなっていた時期で、みんなで一つのチームになるにはどうしたらいいかを今も考えています。2〜3ヶ月に1回、50人規模のエンジニア向けイベントを開いていて、短期間でアプリを作る勉強会なども開催しています。


1ヶ月で作った「TrashTrace」——アプリ甲子園2024ファイナリスト・企業賞

**――2024年のアプリ甲子園でファイナリスト・企業賞を獲得された「TrashTrace」は、どんなアプリですか?**

酒井さん:一言で言うと、ゴミ拾いのSNSです。地域清掃をやっていたんですが、成果が残りづらい領域で、モチベーションを維持するのが難しかったんですね。それで、清掃の功績を記録して、それをみんなで共有できる機能を作りました。

**――制作は大変でしたか?**

酒井さん:僕、こういうものを作ること自体は好きなので、大変とはあまり思わないんです。ただ、大会の提出締め切りまで1ヶ月しかなくて、普通なら1ヶ月でアプリは作れません。それでも夏休み中、朝から晩までずっとそのことだけ考えて没頭していました。のめり込めるとゲーム感覚になるんです。逆に一番苦しいのは、学校のわけのわからないテストを受けている時間ですね。


[![Image 2: 画像](https://assets.st-note.com/img/1786840920-KWxuBXw4IU2kg58sJfVdyEbG.jpg?width=1200)](https://assets.st-note.com/img/1786840920-KWxuBXw4IU2kg58sJfVdyEbG.jpg?width=2000&height=2000&fit=bounds&quality=85)

5000円で日本縦断——外に出なければ得られない学び

**――学生でありながら経営者として、忙しい日々をどう両立されているんですか?**

酒井さん:AIをかなり駆使していますね。テスト期間中でも、勉強の裏で並行してアプリを作っていたりします。

**――デジタルノマド学生として世界を旅したいと伺いました。旅にまつわるエピソードはありますか?**

酒井さん:友人にもそういう人が何人かいて、僕自身、5000円だけを持って2週間かけて日本を縦断したことがあります。ヒッチハイクで拾ってもらいながら、食費まで全部込みで5000円で帰ってきました。路上で物を売ったりもしましたし、北海道で知り合った方の会社のシステムを直してあげたら、お礼にお金をいただいて、それで帰ってこられたこともありました。外に出なければ得られない学びがたくさんあるんです。


「勝手にやっている」——学生起業家からのメッセージ

――今後、Not a Squareとしてどんな未来を描いていますか?

酒井さん:この2、3年でやりたいことが2つあります。1つは、AIを『魔法』としてではなく、エンジニアリングとしてしっかり実装できる会社になること。AIに興味を持っていない企業さんはまだ6割ほどいて、それは怪しいマーケティングが多すぎるからだと思っています。そこをちゃんと地に足つけてやることで、日本の生産性を上げる市場を開いていきたい。もう1つは、学生やフリーランスの人材育成です。しっかりテクノロジーもわかった上で企業に価値を出せる人間を、これからの時代に向けて育てていきたいと思っています。

――行動に移せずにいる読者へ、メッセージをお願いします。

酒井さん:僕がアドバイスできる立場かはわからないんですが、『やりたい』と言っているのにやれない人は多いですよね。でも、本当にやりたいことって、放っておいても勝手にやっているものだと思うんです。だから、それは本当は『やりたい』んじゃなくて、その言葉の後ろにお金持ちになりたいとかモテたいとか、別の欲があるだけなんじゃないかと考えてみるのもいいと思います。自分を見つめ直して、深く考えることが大切だと思いますね。


**会社概要**

名称:株式会社Not a Square

設立:2026年8月13日

所在地:大阪府大阪市淀川区西中島1-9-20 新中島ビル1F

代表:酒井涼雅

事業内容:FDE(Forward Deployed Engineer)による業務改善(業務フロー監査・AI実装・伴走保守)、法人向けAIセミナーの企画・開催


取材・文:佐藤大遥(株式会社One Rep)


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