2026.08.31 / ぶち上げインタビュー

【経営者インタビュー】「致命傷でなければ、失敗は失敗じゃない」——AIを"作る側"の技術で、日本企業のDXを底上げする男。株式会社エスプリント・斉藤慎太郎さん

「致命傷でなければ、失敗は失敗じゃない」——AIを"作る側"の技術で、日本企業のDXを底上げする男。株式会社エスプリント・斉藤慎太郎さん

生成AIブームが来る、ずっと前から。AIを「使う側」ではなく、「作る側」にいた男がいる。 DXやAIの推進、データ活用を主軸に、システムの受託開発から業務プロセスの再設計、経営者への顧問・伴走支援までを手がける株式会社エスプリント。同社を率いるのが、代表取締役の斉藤慎太郎さん(以下、斉藤さん)だ。 札幌に生まれ、幼少期は空手一筋。中学2年で競技を「すっぱり」やめて勉強に切り替えると、バンドで食べていく夢を追って上京した。夢が破れた先で出会ったのは、経営課題を数理で解く「経営工学」の世界。学生時代からエンジニアとして働き、修士修了後はAIエンジニア・データサイエンティストとしてキャリアを積んで、

この記事の要点

  • 01あとは、経営者サイドから支える場合は、顧問の形で入って一緒に伴走支援していく形。
  • 02斉藤さん:「AIや自動化が気になるけれど、その技術で何がどうできるのか、会社がどう変わりうるのかが、便利すぎるが故に自分では想像できない」という方ですね。
  • 03幼少期なので、明確な理由はなかったものの、身近な存在でしたので、そういう働き方をするのかなと自然と思っていました。

※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。

AIを「主役」にして、業務プロセスごと設計し直す——エスプリントの事業内容

——改めて、エスプリントさんの事業内容を教えていただけますか?

斉藤さん:コアになっているのは、DXの推進やAIの推進、データ活用のところです。そこから派生して、受託開発・システム開発をがっつりやるケースもあれば、社内の業務にどうやってAIを乗せていくか、という支援も多いですね。少し流行りの言葉で言うと、「FDE(フォワード・デプロイド・エンジニア)」の概念です。

人間前提だった業務のやり方を、AIや自動化ワークフローの処理を"主役"にして、業務フローや業務プロセス自体を設計し直す。そして、それをそのままオペレーションにちゃんと乗せていく。そういうこともやっています。

あとは、経営者サイドから支える場合は、顧問の形で入って一緒に伴走支援していく形。ボトムアップ的な形であれば、助成金を活用して、その会社さんごとにカスタマイズしたリスキリング研修をやるパターンもあります。

——どんな会社が、エスプリントのサービスに合うのでしょうか?

斉藤さん:「AIや自動化が気になるけれど、その技術で何がどうできるのか、会社がどう変わりうるのかが、便利すぎるが故に自分では想像できない」という方ですね。

そこを横から一緒に、「この技術はどこまで、どうできるのか」というところから、「その観点を分かった上で、会社のこの業務はどこまで自動化できるのか」まで、サポートできます。

——実際には、どんな課題のご相談が多いですか?

斉藤さん:特定の課題というよりは、バックオフィスや営業、マーケのような「日々やっている業務を、どれだけ楽にできるか」という観点でのお話が多いかなと思います。業種・業界も問わずですね。

幼稚園の悔しさから始まった、空手一筋の少年時代

多い時で週7〜8回の練習漬け。「型」で札幌を勝ち上がった

——ここからは、過去のお話も聞かせてください。学生時代はどんなお子さんだったんですか?

斉藤さん:小学校の頃は、勉強なんて全くしていなくて、スポーツしかやっていませんでした。空手と水泳しかやっていなかったです。空手は多い時で、週7〜8回くらい練習していましたね。

——空手を始めたきっかけは?

斉藤さん:幼稚園の頃に、いじめられた記憶があって。「強くなりたい」というところから空手をやったんです。水泳は……小学校ってプール開きがあるじゃないですか。「みんな泳げるのに、自分だけ泳げないのは嫌だ」。そこが起点でした。

途中までは空手が週2〜3回で、水泳もどっちも、という感じだったんですけど、途中から「どっちもやる時間はない」となって、空手の方を選びました。

——当時の成績はどうだったんですか?

斉藤さん:空手には組手と型があるんですが、札幌の区単位の大会だと、型は何年もずっと僕が優勝する状態でした。組手は、中学1年くらいの時にやっとそこで優勝できて。

型の方が得意だったので、札幌市の大会でも優勝しましたし、型の団体戦では全国でベスト8までいきました。

「空手はビジネスにならない」——中2で下した、最初の"経営判断"

——スポーツ漬けの毎日から、どのタイミングで勉強に切り替わったんですか?

斉藤さん:中学2年生ぐらいですね。空手は、サッカーや野球と違って、一応プロはあるんですけど、将来的なところを含めて、正直なところ、食べて行きづらい側面があります。

親から「将来も見据えてどうするの?」みたいな話もあって、いろいろ話して、「一度勉強してみる」と。空手をそこですっぱりやめて、そこから勉強をがっつり始めた感じですね。

——ご家族には、事業をされている方が多かったそうですね。

斉藤さん:祖父が石炭系の仕事で、母はパチンコ関係でした。父も金融系をやったり、金券ショップをやったり。

——幼少期から「自分も社長になるんだ」という思いは強かったんですか?

斉藤さん:そうですね。幼少期なので、明確な理由はなかったものの、身近な存在でしたので、そういう働き方をするのかなと自然と思っていました。

バンドで食っていくつもりだった——夢の解散と、経営工学との出会い

——上京されたのは大学からだそうですが、きっかけは何だったんですか?

斉藤さん:東京に行きたかった一番の理由は、バンドをやりたかったからなんですよ。「バンドで飯を食べていきたい」が一番先行していて。曲を作って、もちろんライブもやって活動していたんですけど、なかなか売れなくて。「これは食っていけない」となったんです。

——そこからなぜ、AIやデータの世界へ進んだんでしょうか?

斉藤さん:大学で何を学ぶかは、かなり悩んでいたんです。それで、「会社をやる、経営する、というところから考えよう」と思って。その中に、経営的な課題を工学的・数理的アプローチで解決する「経営工学」という分野があって、「あ、そこ楽しそう」と。

入ったら、あれよあれよという間に、AIや統計モデリング、データエンジニアリングの分野を丸々ひと通りやることになった。なので、結果論みたいな感じでしたね(笑)。

勉強がだいぶ楽しかったのと、大学4年のタイミングでバンドも解散したので、「じゃあ、このまま行こう」と大学院に進みました。

——学生時代から、すでにエンジニアとして働かれていたとか。

斉藤さん:最初はインターンからスタートして、途中からは業務委託のエンジニアとしてがっつり働いていました。ある種、それがファーストキャリアですね。修士を卒業した後はテック系の会社に入って、AIエンジニアをやったり、データサイエンティストをやったり、というキャリアです。

「AIを使えている日本企業は、ほぼいない」——起業を決めた原体験

——そこから独立に至ったのは、なぜだったんでしょうか?

斉藤さん:学生時代からずっと働いてきた中で、日本の企業って、AIやデータの先端系の技術をうまく使えている企業がほぼいないな、という印象だったんですよ。これは、上場企業とかも含めてそうですね。

そこをもっと普及させたい、自分がいろんな企業を支援できれば、というので、この会社を立てたんです。

技術はあっても、売れない——独立後にぶつかった「営業」の壁

——会社を経営されてきた中で、一番の挫折経験やつらかったエピソードはありますか?

斉藤さん:もともと技術畑の人間だったので、会社をやると、営業力みたいなものも求められるじゃないですか。「そもそも営業ってどうやるんだ」というのが、特に初期はよく分からなかったですね。

しかも、うちの商材は課題が顕在化しづらいんですよ。DXやAIって、皆さん何かしら課題はなんとなく感じているけれど、集客や採用に比べると、めちゃめちゃ顕在化するかと言われると、しづらい。なおさらそこが壁になっていたんじゃないかな、というのはありますね。

——その壁を、どう乗り越えていったんですか?

斉藤さん:外注しようとなったお客様側からすると、「分からないから発注する」わけです。その中で、今「AI系」を謳っている企業がこれだけたくさんいて、どこがどう違うのかも分からない。

だったら、代理店さんや営業顧問のような方々から、リファラルをちゃんと集められる状態にしておくのが一番効率がいいなと思っていて。なので今は、営業チームを持つというより、顧問や代理店さん経由の割合がかなり大きいですね。

——現在は、どんな体制で活動されているんですか?

斉藤さん:国内が6名で、開発のリソースは海外のオフショアチームで全部ビルディングしています。開発リソース側も諸々含めると、だいぶ人数はいるんじゃないかなと。日本でブリッジ的な役割をやっている人たちがいて、そういったところから繋がらせていただくことも多いです。最近は翻訳系のLLMもだいぶ発達しているので、言語もそんなに困らないですね。

生成AIブームの、ずっと前から——「モデルを作る側」という強み

——AI支援を謳う会社が増えている中で、エスプリントさんならではの強みはどこにあると思いますか?

斉藤さん:弊社は、生成AIやAIエージェントが出る前から、AI業界やビッグデータの扱いをやってきています。今のAI系企業さんの多くは、「最近出てきたAI系のツールを使って何かをする」という支援がすごく多いと思うんですけど、弊社の場合は、AIそのものの原理原則を知っているし、AIのモデル自体を作る側からやってきている。表面的な内容というよりは、もっと本質的な、エッセンシャルなところからやっているので、それを活かした独自の開発もできます。

それをどうビジネスに反映していくかは、また別の話としてあるんですが、生成AIが出る前の"特化型AI"の時代から、いろんなプロジェクトでやってきたナレッジがたくさんある。AIを使って業務フローやタスクをどう設計するかって、結構癖のある分野なんですよ。

なので、技術とビジネス、両方のバランス感とその深さがめちゃめちゃある、というのが、強みとして自負しております。

労働人口が減っていく日本で、「AIを使える土壌」を広げる——今後の展望

——今後の展望や、ビジネスにおいて成し遂げたい大義があれば教えてください。

斉藤さん:これだけAIで激動の時代なので、あまり長期的な目線を語るのもあれかなと思うんですが、だいぶ現実的な話をすると——もともとこの会社を始めた理由が、「日本の企業はAIやデータをうまく使えていない。そこをもっと普及させたい」だったので、これをさらに拡充させていくのは、一つの使命かなと思っています。

あとは、日本の経済的な状況も含めての話ですが、労働人口は確実に右肩下がりで減っていく世の中です。これだけAIやデータという便利に使えるものがあるのであれば、それをちゃんと活用できる土壌をいろんな企業さんに普及させていかないと、日本の経済も全然良くならない。そういった部分でも、少しでも影響を与えられるように努力できればと思っています。

「致命傷でなければ、失敗は失敗じゃない」——挑戦をためらうあなたへ

——最後に、挑戦したいけれど一歩を踏み出せずにいる方へ、メッセージをお願いします。

斉藤さん:よっぽど「もうこれから生きていけない」みたいな致命傷でもなければ、失敗は失敗じゃないかなと思うんです。やってみて、結果それが自分に合っているかどうかも、やってみないと分からないし。

考えるよりかは、まず一歩踏み出してやってみる。動いてみる。それがいいんじゃないかなと思います。

AI活用・DX推進に関する無料相談は、株式会社エスプリントの公式サイトから。 https://ss-print.com/

会社概要

会社名:株式会社エスプリント

設立:2022年7月

代表:斉藤慎太郎

事業内容:DX・AI推進、データ活用支援、システム受託開発、AI顧問・伴走支援、リスキリング研修

所在地:東京都中央区銀座6-13-9 bizcube

取材・文:黒澤優一(株式会社One Rep)

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