2026.09.16 / ぶち上げインタビュー
【経営者インタビュー】「誰かの可能性を、その人以上に信じられる会社でありたい。」——痛みをぜんぶ力に変えた30歳が、1年で13店舗を築くまで。株式会社LIBRA・千田陽美さん

「誰かの可能性を、その人以上に信じられる会社でありたい。」 ある日、彼女はそう気づいた。 大阪を拠点に、ホワイトニング・脱毛・眉毛を扱うトータルビューティーサロン「LIBRA」を運営する株式会社LIBRA。その代表を務めるのが、千田陽美(せんだ・みなみ)さん、30歳だ。今年9月で事業は4年目を迎え、直営・FC合わせて10店舗、この1年でFC加盟は13社が決まった。 兵庫県姫路市で三姉妹の三女として生まれ、幼い頃の痛み、男に負けたくない一心で握った剣道の竹刀、いじめ、歯科衛生士としての新卒時代。しかし、母の病と「人生は一度きり」という現実が、彼女を22歳で大阪へと押し出した。 広告費ゼロ、紹介だ
この記事の要点
- 01だったら、やりたいことを我慢したまま終わるより、失敗してもいいから一度挑戦してみたい。
- 02未経験から経営を始める方も多いので、月1回のオーナーセミナーや定期的な面談を通して、売上や集客だけではなく、スタッフとの関わり方、マネジメント、組織づくりまで一緒に考えています。
- 03だからこそ、全員を同じ型にはめるのではなく、それぞれの強みや目標を知ったうえで、どう成長していけるかを一緒に考えることを意識しています。
※ 人生ぶち上げch編集部が本文をもとに整理した独自の要約です。
「サロン業界のスターバックス」——美容をきっかけに、人がつながる場所へ
——まず、現在の事業について教えてください。
千田さん:トータルビューティーサロン「LIBRA」を運営しています。
ホワイトニングを中心に、脱毛や眉毛など、美容を身近に続けていただけるサービスを提供しています。
サロンを始めて今年で4年目になります。最初の2年間は個人事業として運営し、その後法人化しました。現在は直営店の運営に加えて、フランチャイズ展開にも力を入れています。
——フランチャイズもかなり広がっているそうですね。
千田さん:はい。現在は10店舗が展開していて、この1年で新たに13店舗の加盟が決まりました。オープンに向けて物件を探している方や、内装・採用などの準備を進めている方もいるので、今はそれぞれのオーナーさんと一緒に、一店舗ずつ形にしている段階です。
ただ、私自身は店舗数だけを増やすことが目的ではないと思っています。
どの店舗でもLIBRAらしいサービスや空間を届けられるように、オーナーさんと一緒にブランドを育てていくことを大切にしています。
モノを売る場所ではなく、「また来たい」と思える居場所をつくる
——LIBRAのコンセプトを一言で表すと?
千田さん:「サロン業界のスターバックス」です。
美容のサービスを受けて、綺麗になって帰る。それだけの場所にはしたくないんです。
スターバックスが家でも職場でもない「第三の居場所」として親しまれているように、LIBRAも、来ると少し前向きになれたり、人とのつながりが生まれたりする場所でありたいと思っています。
実際に、お客様として通ってくださっていた方がスタッフになったり、その先でFCオーナーとして独立したりするケースもあります。
LIBRAとの出会いをきっかけに、新しい仕事や挑戦につながっていく。
そうやって人とのつながりから自然と広がってきたことが、LIBRAらしさだと思っています。
姫路で過ごした幼少期——「強くなりたい」と思った原点
——幼少期はどんなお子さんでしたか?
千田さん:兵庫県姫路市の出身で、22歳まで姫路で過ごしました。
三姉妹の三女で、小さい頃はすごくわんぱくでした。好奇心旺盛で、ずっと外で遊んでいるような子でしたね。
両親も姉たちも経営者ではなく、身近に経営をしている人がいたわけでもありません。なので、当時は自分が将来会社を経営するなんて、まったく想像していませんでした。
——そんな幼少期の中で、ご自身に影響を与えた出来事はありましたか?
千田さん:小学生の頃に、すごく怖い思いをした経験がありました。
それをきっかけに、人に対する怖さを感じる時期があって、当時の私は「自分を守れるくらい強くなりたい」と思うようになったんです。
その気持ちから、中学生になって剣道部に入りました。
今振り返ると、誰かに勝ちたかったというより、自分自身に自信を持つために、何か一つ「これなら頑張れる」と思えるものが欲しかったんだと思います。
剣道は、そんな自分が初めて本気で打ち込んだものになりました。
剣道といじめに向き合った学生時代
——剣道はかなり本格的にされていたそうですね。
千田さん:中学では市の大会で優勝したり、県大会でも上位を目指したり、本当に朝から晩まで剣道中心の生活でした。
高校も剣道を続けるために進学して、学生時代はほとんど剣道漬けでしたね。
厳しい練習の中で、続けることや、自分で決めたことを最後までやり抜くことは、この頃に身についたと思います。
——一方で、人間関係で悩んだ時期もあったと。
千田さん:はい。中学生の頃、いじめを受け悩んだ時期がありました。
周囲から心ない言葉を言われたり、クラスに味方がいない学校に、行くこと自体がつらいと感じる日もありました。
当時はどう向き合えばいいのか分からなくて、とにかく嫌でも毎日学校に行って、剣道を続けることで自分を保っていたように思います。
もちろん、今振り返れば「無理をしてでも耐えることが正解だった」とは思っていません。ただ、あの経験があったからこそ、人には見えない悩みがあることや、居場所があることの大切さを強く感じるようになりました。
今LIBRAで「人が安心して集まれる場所をつくりたい」と思っていることにも、どこかでこの経験がつながっているのかもしれません。
看護師を諦め、歯科衛生士の道へ
——進路はどう選んだのですか。
千田さん:国家資格を持てる仕事に就きたくて、歯科衛生士を選びました。
本当は看護師になりたかった気持ちもありましたが、学費が高すぎて。そこは妥協せざるを得なかった、という感じです。
新卒2日目、またいじめられた——それでもチーフになった
——新卒では、地元で歯科衛生士に。
千田さん:はい。22歳までは姫路で、新卒で歯科医院に勤めました。
ただ、入ってすぐ人間関係で悩むことがあって。先輩から陰口を言われたり、無視をされ、また居場所がないな。と感じることもありました。
——そこはどう乗り越えたんですか。
千田さん:最初は「なんでこんなこと言われるんやろ」って思っていました。
でも、ただ我慢するだけじゃなくて、必要なことはちゃんと伝えようと思って、相手と直接話すことにしたんです。
もちろん私自身も新卒だったので、今振り返るともっと違う伝え方もあったと思います。
ただ、その経験をきっかけに、人間関係から逃げずに向き合うことや、立場の違う人とどう関わるかをすごく考えるようになりました。
その後、少しずつ仕事を任せてもらえるようになって、最終的には歯科衛生士のチーフとしてお仕事をさせていただきました。
今のスタッフやオーナーさんと関わる中でも、あの時に学んだ「人との向き合い方」はすごく活きていると思います。
「環境を変えれば、未来も変えられる」——22歳で決めた、環境を変えるという選択
——大阪に出る決断は、何がきっかけだったのでしょう。
千田さん:ちょうどその頃、母が体調を崩したこともあって、自分の人生について初めて真剣に考えるようになりました。
それまでは、今いる環境の中で頑張ることが当たり前だと思っていたんです。でも、やりたいことや目指したい未来があるなら、今の環境の中だけで答えを探す必要はないんじゃないかと思うようになって。
仕事や住む場所、人との出会いも含めて、環境が変われば自分の考え方や選択肢も変わる。
だったら、待っているだけじゃなくて、自分から環境を変えてみようと思ったんです。
——お母様のことも、大きなきっかけになったと。
千田さん:はい。母が癌になったことで、22歳のときに初めて「人生って本当に一度きりなんだ」と強く感じました。
それまでは「いつかやりたい」「もう少ししてからでもいい」と思っていたことも、いつでもできるとは限らないんだなって。
だったら、やりたいことを我慢したまま終わるより、失敗してもいいから一度挑戦してみたい。
そう思って、22年間過ごした姫路を離れて、大阪に出ることを決めました。
今振り返ると、あのとき環境を変える決断をしたことが、その後の美容との出会いや独立、今のLIBRAにもつながっていると思います。
環境を変えた先で、大切なのは「どう向き合うか」
——大阪に出てからは、どのように過ごされたのでしょう。
千田さん:大阪に出た時点では、将来起業するとか、明確なゴールまで決まっていたわけではありませんでした。
最初の数ヶ月は歯科衛生士として働き、その後、美容業界に入りました。
振り返ると、この時期の経験が、今の自分にとって大きな転機になったと思っています。思うようにいかないこともありましたし、頑張ってもすぐに結果が出るわけではありませんでした。
それでも、「結果が出ないからやめる」ではなく、今の自分にできることは何なのかを考えて、目の前のことに向き合い続けました。しんどい時期も含めて、すぐに答えを求めず、やるべきことを積み重ねた経験があったからこそ、今の自分があると思っています。
そして、その経験を重ねていく中で、自分自身が大切にしたいことや、これから挑戦したいことが少しずつ見えるようになり、その先に独立という選択がありました。
今振り返って思うのは、環境を変えただけで人生が変わったわけではないということ。 その環境で逃げずに向き合って、結果が出なくても続けた時間が、次の選択肢をつくってくれたんだと思います。
「広告ではなく、人から人へ。紹介で広がった4年間」
——独立してからは、順風満帆だったのでしょうか。
千田さん:全然そんなことはなくて。お客様も0スタート、独立してから2年ほどは、いろいろな事情があって広告をほとんど使えない状況でした。SNSでの集客も十分にできていなくて。
だからこそ、目の前のお客様に満足してもらって、「誰かに紹介したい」と思ってもらえるサロンをつくることに集中しました。
結果的に、お客様がお客様を紹介してくださって、そのつながりで少しずつLIBRAが広がっていったんです。
振り返ると、広告に頼れなかった環境が、今のLIBRAの強みをつくってくれたと思っています。
——広告なしで、どうやって紹介が続いていったのでしょう。
千田さん:ただ施術を受けて帰るだけではなく、LIBRAに来ることで気持ちが少し前向きになったり、人とのつながりから新しいきっかけが生まれたりする。そんな場所にしたいという思いがずっとありました。
美容だけではなく、LIBRAに来たことで何か人生にプラスになるものを持って帰ってもらえたらいいな、と。そういう積み重ねの中で、「友達にも教えたい」「この人を連れてきたい」と言っていただけることが増えていきました。
今では、この「紹介が自然に生まれるサロンづくり」がLIBRAの一つの文化になっています。
「自分の感覚でやっていたことを、仕組みに変えた」
——そこからフランチャイズを始めたのは。
千田さん:以前からフランチャイズはやりたいと思っていました。ただ、自分の店舗だけがうまくいっても意味がないと思っていて。
「なぜ紹介が生まれるのか」「どうすれば別の店舗でも同じ価値を届けられるのか」を言語化して、仕組みにする必要がありました。
その土台が整ってきたタイミングで、昨年9月からフランチャイズをスタートしました。
ありがたいことに、そこから1年ほどで13店舗まで広がりました。
でも、私自身は店舗数を増やすことだけが目標ではなくて、どの店舗でもLIBRAらしいサービスや空間を提供できることの方が大切だと思っています。
FCの強みは「安さ・速さ・残る利益」
小さく始めて、経営者として育っていけるFC
——加盟を考える方に向けて、LIBRAのFCの強みを教えてください。
千田さん:まず、比較的コンパクトに始められることです。
物件などの条件にもよりますが、機材なども含めて250万円前後から1店舗をスタートできる設計にしています。
初期投資を大きくしすぎないことで、売上をつくることだけではなく、きちんと利益を残して事業を続けていける形を大切にしています。
実際に、これまでの店舗では3〜6ヶ月程度で初期投資の回収が進んだケースもあります。もちろん店舗や売上によって異なりますが、投資回収までのスピードも意識したモデルです。
また、ロイヤリティも売上に対するパーセンテージではなく定額制にしています。
売上が伸びた分まで本部に持っていかれるのではなく、店舗側にも利益を残しながら成長してほしいという考えからです。
——加盟後のサポートはどうなっていますか。
千田さん:私は、店舗をつくって終わりにはしたくないんです。
未経験から経営を始める方も多いので、月1回のオーナーセミナーや定期的な面談を通して、売上や集客だけではなく、スタッフとの関わり方、マネジメント、組織づくりまで一緒に考えています。
実際、経営をしていくと、数字だけでは解決できない「人」の問題に必ずぶつかります。
私自身もそこに何度も悩んできたからこそ、成功したやり方だけを渡すのではなく、オーナー自身が経営者として成長していけるところまで伴走する。
そこはLIBRAが大切にしている部分です。
「人生を変えたい」から、経営する側へ
——現在はどんな方が加盟されているんですか。
千田さん:20代の方が多いです。男女比も比較的バランスが取れていて、もともと会社員だった方や、美容業界で働いていた方など、経歴もさまざまです。
共通しているのは、「今のままで終わりたくない」「自分で何かに挑戦してみたい」という気持ちを持っていることだと思います。
現在は、自分自身も店舗に立ちながら経営する「オーナー兼プレイヤー」の方が中心ですが、最近は、既存事業との相乗効果を考えて加盟される方や、店舗運営を新しい事業として始めたいという方も増えています。
今後はそういった方にも対応できるように、オーナーが現場に立ち続けなくても運営できる仕組みも、さらに整えていきたいと思っています。
組織づくりで大切にしていること——「一人ひとりの未来を応援する」
——人をまとめるうえで、大切にしていることは。
千田さん:一番大切にしているのは、その人が「この会社にいてよかった」と思える時間をつくることです。
ずっとLIBRAで働きたい子もいれば、将来FCで自分の店を持ちたい子、別の夢を持っている子もいる。それでいいと思っています。
たとえば「いつか起業したい」という子なら、LIBRAにいる間に接客だけではなく、数字を見る力やマネジメント、人との関わり方を学んで、その子の次のステージにつながってほしい。
会社の目標だけを追ってもらうのではなく、その人自身が目指している未来と、会社での経験が重なる部分をつくる。
それが経営者として大切なことだと思っています。
——若い世代と組織をつくるうえで、難しさもありますか。
千田さん:昔のように「会社のために頑張ろう」という言葉だけで、一つの方向を向いてもらう時代ではないと思っています。
仕事に求めるものも、将来描いているものも一人ひとり違う。だからこそ、全員を同じ型にはめるのではなく、それぞれの強みや目標を知ったうえで、どう成長していけるかを一緒に考えることを意識しています。
そのためにも、普段からコミュニケーションを取ることは大切にしています。定期的にミーティングをしたり、ときには一緒にご飯を食べたりしながら、仕事の話だけではなく、その子が今何を考えているのかを知る時間をつくっています。
人を会社に合わせるのではなく、その人の成長と会社の成長が重なる組織をつくりたい。
それが、今の私が目指しているマネジメントです。
美しさは、人生を変える——目指す50店舗の先
——事業の根っこにある想いを聞かせてください。
千田さん:私自身、昔は自分に自信を持てない時期がありました。だからこそ、外見が少し変わることで気持ちが前向きになったり、今までできなかったことに挑戦できたりする感覚を、自分自身が経験してきたんです。
LIBRAでは、
「美しさは自信をくれて、自信は行動を変えて、行動は人生を変える」
という考え方を大切にしています。
もちろん、歯を白くすることがゴールではありません。
LIBRAに来て、笑顔が増えたり、自分を少し好きになれたり、「やってみよう」と思えることが増えたりする。
美容をきっかけに、その人の人生の選択肢が一つでも増えていくこと。
それが、私が美容の仕事を続けている理由です。
3年で50店舗。その先も「LIBRA」というブランドを広げたい
——今後の展望を教えてください。
千田さん:まずは、LIBRAのホワイトニングサロンを3年で50店舗まで広げることが一つの目標です。
ただ、店舗数を増やすこと自体がゴールではありません。
どの地域に行っても、LIBRAに来れば同じサービスや価値観、人とのつながりを感じてもらえる。そんなブランドにしていきたいと思っています。
その先では、店舗だけではなく、オーラルケア商品などの自社商品や、LIBRAで培ってきた仕組みを生かした新しい事業にも挑戦していきたいです。
そしていつかは、美容という枠だけにとらわれず、「人の人生を前向きにする」というLIBRAの考え方そのものを、日本全国、そして海外にも広げていけたらと思っています。
「変わりたい」と思ったとき、そのきっかけになれる場所へ
——最後に、この記事を読んでいる方へメッセージを。
千田さん:私自身も、最初から自信があったわけでも、経営者になろうと決めていたわけでもありません。
いろいろな経験をする中で、「このままでは終わりたくない」と思って、一つずつ環境や行動を変えてきました。
だから、今の自分や環境を変えたいと思っている人がいたら、最初から大きな夢や自信がなくてもいいと思っています。
特に女性には、仕事や環境に人生を決められるのではなく、自分自身でこれからの生き方を選べる人になってほしいという思いがあります。
LIBRAがお客様にとっても、スタッフにとっても、オーナーにとっても、
「ここに出会ったことで、新しい一歩を踏み出せた」
と思ってもらえる場所でありたいです。
会社概要
会社名:株式会社LIBRA
事業内容:トータルビューティーサロン「LIBRA」(ホワイトニング・脱毛・眉毛)の運営、およびフランチャイズ展開
店舗数:直営・FC合わせて10店舗(取材時点)
本部体制:5名
取材・文:黒澤優一(株式会社One Rep)
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