「若手が活躍できる」「風通しがよい」。採用動画の台本にこうした言葉を並べても、候補者は他社との違いを判断できません。One Repの関口楽が勧めるのは、入社してほしい人物像に近い社員へ、その人が実際に入社を決めた理由を聞く順序です。

台本の冒頭を書く前に、社員の入社前へ戻る
元動画の3分58秒以降では、採用したい人物像に近い社員が、どのような課題や理想を持って入社したかを言語化する方法が説明されています。続く場面では、その人に伝えるべきメッセージを決めてから、何を見せるかを選んでいます。
つまり、会社の魅力を先に決めて社員に言わせる手順ではありません。実在する社員が入社前に迷った点、他社と比べた点、最後に一歩を踏み出せた理由から、視聴者に渡す材料を見つけます。社員が話していない動機を、採用担当者が都合よく補わないことが前提です。
「成長したい」という回答を、そのまま見出しにしない
事前の聞き取りで「成長したかった」と答えたら、担当者はそこで終えず、何ができるようになりたかったのかを聞きます。顧客を一人で担当したかったのか、提案内容を自分で決めたかったのかでは、撮るべき場面が変わります。
例えば前者なら、初めて担当した仕事、先輩の支援、任される範囲が広がった過程を聞きます。後者なら、実際の提案と、採用されなかった案も含めた判断の場面を探します。これらは編集部の質問例です。本人の経験として台本へ書き込む前に、必ず本人へ確認します。
台本には完成した模範回答より、質問と確かめたい具体的な経験を置きます。言い回しを全員で揃えると読みやすくても、社員ごとの判断や迷いが消えてしまいます。
密着動画の台本は、出来事を演じさせる指示書にしない
実際の仕事を撮る場合、台本に「先輩が叱る」「新人が感動する」と結末を書きません。撮影する通常業務と、その前後で聞く質問を決めます。当日に起きなかった出来事を再現して、日常の記録として見せることも避けます。
事前に整理しておくのは、公開できる仕事、立ち入れる場所、説明が必要な専門語、本人が話せる経験です。当日の出来事によって想定したメッセージと違う材料が出たら、映像を会社の主張へ無理に合わせず、記事や動画の問いを見直します。企業の主張と実際の映像が一致していることが、採用候補者の判断材料になります。
聞き手は、人物を理解する質問と判断を確かめる質問を使い分ける
密着動画の聞き手が「すごいですね」とだけ反応すると、視聴者が知りたい判断の過程が残らない場合があります。一方、数字の根拠ばかり問い続けると、その人がなぜ仕事を選んだのかが見えなくなります。企画の段階で、どの場面で人物への理解を深め、どの場面で仕事の判断を確認するかを分けます。
入社理由を扱う場面なら「その時、他にどんな選択肢がありましたか」「最後に何を確認して決めましたか」。仕事の場面なら「今の対応を選んだ理由は何ですか」「別の方法を選ばなかったのはなぜですか」と聞きます。いずれも質問例で、回答の内容までは決めません。
苦労を聞く場合は、困ったという話だけで終えず、誰がどう対応し、何が変わったかまで確認します。物語を盛り上げるために挫折を求めるのではなく、本人が話せる実際の経験から仕事を理解できる構成を作ります。

台本は「説明・映像・確認事項」を組み合わせて作成する
| 台本の欄 | 記載する内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 場面の目的 | 視聴者のどの疑問に答える場面か | 初回相談までに必要な準備を把握してもらう |
| 説明・質問 | 出演者が話す要点や質問内容 | 「現状の業務フローと、困っている具体的な場面を教えてください」 |
| 見せる映像 | 実物、操作画面、図、担当者の動き | 記入例のシートを画面に映し、整理すべき項目を示す |
| 確認事項 | 数値、提示条件、公開可能な情報 | 実在する顧客の情報が画面に映り込んでいないか |
出演者の説明だけが長く続く台本になっている場合は、映像で伝えられる部分がないかを確認します。システムの操作手順を口頭だけで説明するよりも、実際の画面を見せるほうが視聴者に伝わりやすい場合があります。反対に、実演映像を見せるだけでは背景の理由が伝わらない場合は、担当者による短い補足説明を加えます。
実績の数値や固有名詞を扱う際は、参照した確認資料と社内の確認担当者を台本上に記録しておきます。台本を読みやすくするために適用条件などを省いてしまうと、動画の公開後に視聴者との間で誤解が生じることがあります。重要な条件は、出演者の発言または画面上のテロップや注記に残してください。
解説動画の構成テンプレート
以下は、「サービスの初回相談に向けて準備すべきこと」を説明する場合の構成例です。特定の企業の実例ではなく、一般的な解説動画のモデルケースです。
| 順序 | 動画で伝える内容 | 撮影・編集の指示 |
|---|---|---|
| 冒頭 | どの担当者の、どのような疑問を扱うかを提示する | 完成後の整理表を先に見せる |
| 前提 | どこまで社内で準備すれば相談できるかを明示する | 未確定のままで問題ない項目を区別して示す |
| 本編1 | 現在の業務内容を整理する手順を解説する | 架空の記入例を画面に表示する |
| 本編2 | 困っている具体的な場面を明確にする方法を伝える | 抽象的な記入例と具体的な記入例を並べて比較する |
| 本編3 | 希望する導入時期や社内体制の確認方法を説明する | 社内の関係者へ事前に確認すべき項目を示す |
| 終わり | 視聴後に整理すべき作業と、問い合わせ窓口を案内する | 視聴者が次にとるべき行動を短く案内する |
この順序は基本となる構成の型です。社員への密着動画や対談動画を制作する場合は、実際の業務の流れや相手の回答内容に応じて構成を調整してください。この型に無理に合わせるために、話の流れを不自然につなぐ必要はありません。
撮影前に声に出して読み、必要な映像が手配できるかを確認する
文章として自然であっても、実際に声に出して読むと長すぎたり、主語と述語の対応が分かりにくかったりすることがあります。撮影前に出演者が声に出して読み、普段使わないような不自然な言葉遣いがあれば、意味を保ったまま話しやすい表現に言い換えてください。
動画の制作担当者は、台本に記載した撮影場所、小道具、操作画面、提示資料などが当日に確実に手配できるかを確認します。必要な映像素材がないまま撮影を終えてしまうと、編集段階で説明不足を補うことが難しくなります。
公開後の効果測定については、YouTube公式の維持率の案内で解説されているとおり、場面ごとの視聴維持率を確認できます。動画を公開した後は、台本のどの説明箇所で視聴者の離脱や維持が発生したかを見直し、次の企画や台本作成に反映させてください。グラフの数値だけで理由を判断せず、実際の映像内容と照らし合わせて分析することが大切です。
自社の動画をどこから直すか相談する
One Repでは、目的に合う視聴者、動画に入れる情報、撮影する場面、公開後の使い道を整理したうえで、企業のYouTube制作・運用を支援しています。動画の企画・改善について相談する。
文・編集:One Rep編集部。YouTubeの公式情報と公開動画、当社で整理した企画・制作の知見をもとに構成しています。仕様の確認日:2026年10月4日。

