ニュース一覧に戻る
ノウハウ

企業YouTubeのKPI|再生数が少なくても採用で使われる動画をどう評価するか

企業YouTubeのKPIの考え方を表したイメージ
記事の内容を表したイメージ図です。実際の画面や実績を示すものではありません。

再生数が少ないから失敗、応募数が増えたから成功。この評価では、会社の説明に使われた動画の価値と、会社に合わない応募を集めた動画の問題を取り違えることがあります。企業YouTubeのKPIは、公開した動画が事業のどの場面で使われるかによって変わります。

One Repの公開動画が示す「採用フローへ組み込む」という使い方

元動画の2分14秒以降で関口楽は、一次面接後に密着動画を案内した企業の例を挙げています。この話で参考になるのは、動画を公開して応募を待ったのではなく、選考の途中で候補者に見てもらったという運用です。

元動画には成果の数値も登場しますが、対象人数や比較条件を本記事では確認できないため、その数値を一般的な改善率としては扱いません。担当者が自社へ取り入れる際は、いつ、誰に案内し、候補者が何を理解したかを自社の記録で確認します。

新しい視聴者を集める動画なら、対象者への到達を見ます。面談前に説明を補う動画なら、送付されているか、候補者が視聴したか、面談で何が残ったかを見ます。同じ再生回数でも、分母にすべき相手が違います。

月次報告で「良くなった数字」と「改善したい判断」をつなげる

例えば、動画の再生数は横ばいでも、面談で会社説明に使う時間が減り、候補者の質問が具体的になったなら、選考での利用状況を確認する理由になります。ただし、採用担当者の進行方法も変わったなら、動画だけの効果とは言えません。

反対に、応募が増えても仕事内容の認識違いが続く場合、認知の拡大だけを成功として報告すると、次月も同じ情報不足を増やすことになります。担当者は応募数に加えて、本人がどの場面を見て、何を期待していたかを面談で確かめます。

これらは判断方法の例であり、One Repの特定顧客の計測結果ではありません。月次報告には、観測した事実、他に変わった条件、次に確かめることを分けて記載します。

動画の貢献が見えないとき、再生目標を上げる前に記録を直す

応募経路に「YouTube」と書かれていなくても、別の媒体で会社を知り、その後動画を見て応募を決めた人がいる可能性があります。最初に知った経路と、応募前に確認した情報を分けて聞くと、この違いを記録できます。見ていない人を視聴者と推定して埋めてはいけません。

運用を続けるかの判断には、制作費だけでなく、撮影対応や確認にかかった社内の時間も並べます。どの目的に使われたか不明なまま総再生数だけを増やすより、動画が使われる場面を記録できる状態を先に作ります。

月50万円なら年間600万円。その支出を何と比較するか

以下は判断方法を示す仮の試算です。月50万円の制作・運用費なら、12か月の支出は600万円です。この600万円を、成果を確認する前に全額「損失」とは呼びません。制作物が営業や採用で使われているかも含めて確認します。

仮に追加受注1件あたりの粗利益が100万円なら、制作・運用費600万円だけを回収するには6件が必要です。社内の対応費などを含めれば必要額は変わります。また、その6件が動画による追加受注だったかは、別に確かめる必要があります。既存顧客の継続売上を、そのまま動画の新規成果へ足してはいけません。

月次報告では、受注件数、粗利益、動画との接点、他の集客施策、制作・運用費を別欄にします。金額を確認できない場合は未取得と残します。再生数が増えたという報告から、続ける・変える判断へ進むには、どの事業の数字が足りないかを明らかにする必要があります。

本記事の出典となるYouTube採用最高chの動画サムネイル
関口楽による元動画の該当箇所を見る。本文では発言内容と編集部の応用提案を区別しています。

事業の成果と動画の改善指標を整理する

目的 事業側で確認すること 動画側で確認すること
サービスの相談を増やす 有効な問い合わせ、相談内容、商談への移行 関連テーマの視聴、案内先への行動
採用候補者の理解を助ける 面談時の理解、応募理由、認識の違い 仕事内容を説明する動画の視聴状況
商品の使い方を伝える よくある質問の内容、利用時の困りごと 操作場面の視聴、追加質問
会社を知ってもらう 指名での問い合わせ、会社を知ったきっかけ 対象テーマの視聴者、流入経路

指標を選ぶ際は、数値を記録できるか、誰が更新するか、どの判断に使うかもあらかじめ決めます。記録できない指標を目標に設定しても、振り返りができません。運用の初期は自社の基準値を確認し、その後の目標を社内の関係者で合意します。

問い合わせは件数だけでなく、自社で対応できる相談内容であるかも確認します。一方で、動画の視聴者個人を推測して営業対象と決めつけることは避けます。動画の分析データと顧客管理の情報は、それぞれで確認できる範囲を保って扱います。

比較期間と指標の定義をそろえる

月次レポートには、対象期間、対象動画、取得日、指標名を明記します。月ごとに日数が異なることや、新しい動画が公開されたことも比較に影響します。動画1本ごとの公開初期の反応を比べる場合は、公開後の経過日数をそろえて比較します。

広告を配信した月は、広告経由の流入とその他の流入を分けて確認します。また、ショート動画と長尺動画を合算した総再生回数だけでは、どの形式の動画で数値が変化したのか判断できません。目的や形式が異なる動画を分けた表も用意します。

YouTube公式のカウント方法には、2026年8月24日から全フォーマットで再生開始回数を数える変更が記載されています。過去の資料を引き継ぐ場合は、同じ「視聴回数」という項目名でも集計定義が一致しているかを確認し、条件が異なる数字をそのまま成長率として扱わないように注意します。

月次レポートを「結論・根拠・次の対応」の型で作成する

項目 記載する内容
今月の結論 目的に対して何が進み、何が課題か
主要指標 前月と当月の値、比較条件、未取得の項目
動画別の確認 どの動画で、どのような反応があったか
解釈 観察した事実と、原因についての仮説
次月の対応 変更内容、担当者、期限、確認する指標

「再生回数が下がったので投稿本数を増やす」という報告だけでは、対策の根拠が分かりません。例えば広告の出稿が減ったのか、動画の表示回数が減ったのか、サムネイルがクリックされにくくなったのかを確認したうえで、次の対応を決めます。

報告文は次のように記載します。「対象動画では、冒頭の会社紹介中に維持率が下がっている。本題の説明開始が遅い可能性があるため、次回は作業場面から始め、同条件の動画と比較する」。なお、この文章は書き方の例であり、実測結果ではありません。

自社の動画をどこから直すか相談する

One Repでは、目的に合う視聴者、動画に入れる情報、撮影する場面、公開後の使い道を整理したうえで、企業のYouTube制作・運用を支援しています。動画の企画・改善について相談する。

文・編集:One Rep編集部。YouTubeの公式情報と公開動画、当社で整理した企画・制作の知見をもとに構成しています。仕様の確認日:2026年10月4日。