動画の制作費だけを見ても、その金額が高いか安いかは判断できません。その動画が何件の応募、面談、採用につながったのか、そしてどの範囲の作業までを費用に含めているのかを整理する必要があります。社内で異なる基準の数字を比較してしまわないよう、採用動画における効果測定の基本を解説します。
応募単価と採用単価を分けて整理する
応募1件あたりの費用、面談1件あたりの費用、採用1人あたりの費用は、それぞれ異なる指標です。問い合わせや応募が多く集まっても採用に至らなければ、最終的な採用単価の評価は変わってきます。
まずは、社内で測定に使う数字の定義を統一することが重要です。面談の件数とは「予約」の段階を指すのか、「実施」した件数を指すのかを明確にします。採用についても「内定」の件数なのか、「内定承諾」なのか、「入社」した人数なのかを取り決めます。計算の分母となる基準を明確にするだけでも、施策ごとの効果を比較しやすくなります。
制作費以外の社内作業工数も費用として把握する
動画にかかる費用は、制作会社への発注費用だけではありません。社内での企画準備や撮影への立ち会い、動画の確認や修正指示、候補者への案内などにかかる時間も費用に含まれます。外部への支払金額だけを計上していると、社内で動画を内製した場合と外注した場合を公平に比較しにくくなります。
どこまでの作業を費用に含めるかは自社の運用に合わせて決めて構いませんが、比較する施策ごとに費用の算出範囲をそろえることが大切です。過去の施策費用と比較する際も、同じ期間、同じ項目を対象にして確認します。

動画を視聴した経路と応募した経路を分けて把握する
候補者がYouTubeで会社を知った後に社名で検索し、採用サイトの応募フォームから申し込む場合があります。この場合、最後に通過した応募フォームのデータだけを確認していると、候補者が事前に動画を見ていたかどうかが判断できません。
そのため、ウェブサイトのアクセス解析だけでなく、応募時のアンケートや面談の場でも会社を知ったきっかけを質問することが有効です。さらにどの動画が印象に残ったかまで聞き取れれば、視聴の有無を確認できるだけでなく、動画内容の改善にも活用しやすくなります。
前後の変化を比べる際は、動画以外の変更点も記録する
動画の公開と同時に、求人条件の変更、採用担当者の交代、募集職種の追加などが行われていた場合、応募状況の変化が動画だけの効果によるものとは言い切れません。採用活動には時期による変動もあります。
動画の公開日や候補者へ動画を案内し始めた日だけでなく、同時期に行った採用条件などの変更点も記録しておきます。そのうえで、応募から入社までの推移を段階ごとに確認します。短期間の限られた結果だけで効果を過大に評価せず、面談で得られた候補者の意見もあわせて総合的に判断することが大切です。
測定した結果を次の動画企画や採用プロセスの改善に生かす
応募はあるものの面談へ進む候補者が少ない場合は、動画を案内する手順や、事前に伝えるべき説明内容を見直します。面談で仕事内容に関する質問が多く出る場合は、その疑問を解消する情報をあらかじめ動画で補足することを検討します。
一度制作した動画は繰り返し活用できる場合もありますが、情報の維持や修正作業の手間がまったくかからないわけではありません。制作や運用にかかった費用と実際の活用状況を記録し、候補者の理解を促すためにどの情報を追加すべきかを検討していきます。
応募単価・面談単価・採用単価の計算例
採用担当者が単価を計算する際は、集計期間と対象とする費用の範囲をそろえる必要があります。以下の数値は計算手順を説明するための仮定の例であり、One Repや顧客の実績・料金ではありません。
同一の集計期間において、制作・運用・社内作業を含む集計対象の費用が60万円、獲得した応募が20件、実施した面談が10件、採用人数が2人だった場合を想定します。
| 指標 | 計算式 | 仮の計算結果 |
|---|---|---|
| 応募単価 | 60万円 ÷ 20件 | 3万円/件 |
| 面談単価 | 60万円 ÷ 10件 | 6万円/件 |
| 採用単価 | 60万円 ÷ 2人 | 30万円/人 |
件数や人数などの分母が0の場合は単価を算出できないため、0円とは記録しません。また、上記の計算だけでは、動画の導入によって採用人数が純増したかどうかは証明できません。計算に用いた採用数に動画以外の経路が含まれている場合は、対応する採用施策全体の費用も集計したうえで、施策全体の単価を計算します。
効果を検証する際は、動画経由で応募した人と、他の経路で応募した後に動画を視聴した候補者を区別し、動画の視聴有無が不明な候補者も別に記録します。このように分類して集計することで、動画による成果を過大に見積もる事態を防ぐことができます。
自社の動画活用を相談する
One Repでは、採用や集客の目的に合わせた動画の企画、制作、運用を支援しています。現在行っている情報発信の見直しや、最初の1本の企画からご相談いただけます。
文・編集:One Rep編集部。関口楽の原稿をもとに、企業の動画活用について解説しています。
