採用目的で動画を制作する際、再生回数が伸びたからといって自然に応募へ結びつくとは限りません。採用担当者は、誰に自社を知ってほしいのか、その候補者が入社を検討するために何を見せるべきなのかを明確にする必要があります。会社の魅力の整理から出演者の選定、構成の作成、制作会社との連携までを、一つの流れとして設計することが重要です。
再生される理由と応募したくなる理由を分けて考える
自社を知らない視聴者が動画を開く理由と、候補者がその会社で働きたいと思う理由は、必ずしも一致しません。視聴者が仕事の意外な一面に興味を持って動画を見始め、その後に働き方や考え方へ共感していく場合もあります。
One Rep取締役の関口楽は動画内で、視聴のきっかけとなる要素と、会社を好きになってもらうための要素を分けて捉える重要性を述べています。採用動画において、動画の制作担当者が最初から社内の人にしか伝わらない話を続けてしまうと、会社の魅力が伝わる前に視聴者が離脱してしまいます。
採用担当者が企画の段階で「自社を知らない視聴者が見る理由」と「候補者が入社を検討する理由」をそれぞれ書き出すと、どちらかの視点が欠けていないかを確認できます。

会社の魅力は入社した社員の選択理由から掘り下げる
「熱い会社です」「成長できます」といった抽象的な言葉だけでは、候補者に実際の働き方は伝わりません。採用担当者が社員に入社を決めた理由や日々の仕事で感じている魅力を聞き取り、具体的なエピソードへ落とし込みます。
同じ「成長」という言葉でも、早くから責任ある仕事を任される環境を指すのか、先輩から手厚く指導を受けられる環境を指すのかによって、会社が求める人物像は異なります。実際の業務内容や会話の様子を通じて伝えられる水準まで、会社の魅力を具体化する必要があります。
そのうえで動画の制作担当者が競合他社の動画を調査し、自社の要素と比較します。他社が使う印象的な言葉を借りるよりも、自社の現場にある違いを見つける方が、入社後の実態とのずれを防ぎやすくなります。
出演者は会社の価値観と募集職種に合う社員を選ぶ
会社の理念を日々の仕事で体現している社員は、出演者の有力な候補となります。ただし、募集職種との兼ね合いも欠かせません。営業職を採用したい場合とエンジニアを採用したい場合とでは、候補者が知りたい仕事内容は異なります。
One Rep取締役の関口楽は動画内で、会社の魅力を体現していること、募集ポジションと関連があること、そしてありのままの姿を話せることを出演者の選定基準として挙げています。採用担当者は、役職が高い人や話すのが得意な人だけで決めず、候補者が入社後の自分を具体的に想像できる相手かどうかを基準に判断します。
出演者に、会社をよく見せるための理想像を演じてもらう必要はありません。仕事の難しさや試行錯誤の過程も含め、出演者に実際の経験を話してもらう方が、候補者にとって有益な判断材料になります。

冒頭の興味付けから仕事内容と会社の思いへ展開する
動画の構成を考える際は、動画の制作担当者は、まず視聴者が見続けたくなる導入を用意し、次に仕事内容や環境を伝え、そのうえで会社が大切にしている思いに触れる展開を作ります。密着動画であれば、社員の一日の業務の流れのなかにこの展開を組み込むことができます。
撮影時の質問も、社内向けの説明をなぞるのではなく、「候補者なら何を知りたいか」を基準に設定します。「普段はどんな仕事ですか」という大まかな質問から一歩踏み込み、何を基準に判断し、どこに難しさがあり、誰と協力して業務を進めているのかを採用担当者や動画の制作担当者が掘り下げて聞きます。
場所や作業の移り変わりを映像で見せることも、候補者が仕事を理解する助けになります。ただし、画面を切り替えること自体が目的ではありません。出演者が話している内容が実際の業務の動きとして伝わるように、必要な場面を撮影します。

制作会社とは採用成果の理由を共有できる関係を築く
採用担当者が外部の制作会社へ依頼する場合は、これまでの実績の規模だけでなく、「なぜその動画が目的に結びついたと考えているのか」という理由まで確認します。動画が採用へ貢献した理由を論理的に説明できるか、希望する動画形式の制作経験があるか、実際の担当体制はどうなっているかを確かめます。
同時に、自社の事業や文化を深く理解している経営者や採用担当者が制作に関わることも欠かせません。候補者が不安に感じやすい点や、入社後に期待する役割は、社内の担当者から制作会社へ共有する必要があります。
動画の公開後は、候補者がどの動画を視聴し、何を理解して、どんな点に興味を持ったのかを採用担当者が制作会社にも共有します。採用動画を一度の納品物で終わらせず、候補者の反応をもとに内容を改善していくことで、次の動画を制作する意義が生まれます。
採用YouTubeの動画設計を応募につなげる方法
採用担当者と動画の制作担当者は、動画の内容を決めるだけでなく、候補者が動画を視聴した後にどのような行動をとるかまで想定して方針を共有します。
| 設計する項目 | 確認する質問 |
|---|---|
| 採用対象 | どの職種の、どのような経験を持つ人に見てもらうか |
| 候補者の疑問 | 入社を判断する前に、何を知ってもらう必要があるか |
| 出演者と場面 | その疑問に、誰のどの経験や業務で答えられるか |
| 公開後の案内 | 動画から募集条件や相談先を確認できるか |
| 選考での活用 | 面談のどの段階で動画を案内するか |
| 振り返り | 視聴した候補者が、何を理解し、何を質問したか |
HATCHの事例では、動画を公開した後の採用結果と面談移行率の変化が報告されています。一方、ISFの事例では、採用の反響が増えた後の組織運営の課題も語られています。採用担当者は応募数の増加だけを目標にするのではなく、入社した社員の受け入れ体制や、入社後の働き方もあらかじめ確認します。
初回の撮影内容は採用動画の最初の1本の作り方で確認できます。また、公開後の評価方法は採用動画の費用対効果の測り方で具体化できます。
自社の採用・集客に当てはめて考える
One Repでは、企業の目的に合わせたYouTubeの企画・制作・運用を支援しています。自社の課題や、動画で何を伝えるべきかが整理できていない段階からご相談いただけます。
出典:YouTube採用最高chの元動画。公開動画の内容をもとに、One Rep編集部が論点と実務での確認事項を整理しました。実績・評価は動画内で紹介された時点のもので、同じ成果を保証するものではありません。
参考:同テーマの関口楽のX記事。
