採用活動のためにYouTubeを始めたいと考えても、毎週の動画投稿を継続できる体制を整えるのは容易ではありません。そうした企業がまず検討したい取り組みが、採用候補者へ繰り返し案内できる動画を1本制作することです。動画をWebサイトに公開して視聴を待つだけでなく、面接や内定後のコミュニケーションに組み込むことで、動画の果たす役割が明確になります。
動画1本の役割と継続的な採用活動を分けて考える
One Rep取締役の関口楽は、候補者が会社を理解するために動画を活用する考え方を元動画で紹介しています。動画1本で理解を助けることと、継続的に採用するための体制を整えることは、分けて考える必要があります。候補者が企業の様子を十分に把握できずに入社を迷っている場面において、動画が具体的な判断材料になるという考え方です。
求人票には、業務内容や労働条件を正確に記載できます。しかし、社員が普段どのような話し方をしているのか、業務が集中した際に周囲とどのように助け合っているのか、経営者が何に対して熱量を持っているのかといった空気感は、文章のみでは伝えにくい要素です。「アットホームな職場」という文言を記載するよりも、実際の会話風景を見せる方が、候補者は自分に合う環境かどうかを判断しやすくなります。
最初の1本を制作する際は、応募者数を増やすのか、面接前の企業理解を深めるのか、内定後の候補者の不安を減らすのかという目的を定めます。目的が異なれば、動画内に収めるべき場面も、候補者に動画を案内するタイミングも変わります。
求める人物像を実在する社員から具体化する
「20代の営業職」のような大まかな採用条件だけでは、動画企画の判断基準として具体性に欠けます。現在在籍している社員の中から、今後も採用したい人物像に近い社員を選定し、その社員が入社前にどのような点に悩んでいたかをヒアリングします。
前職ではどのような環境や処遇に不足を感じていたのか、どのような働き方を望んでいたのか、他社と比較検討する中で何が決め手となって入社を選んだのかを確認します。実際の選択過程をたどることで、企業側が伝えたい魅力と、候補者が求めている魅力との間にある違いを確認しやすくなります。
動画内では、この実在する特定の1人を定めて分析する手法を「N1」と呼んでいます。重要な点は、細かな人物設定を想像で作り上げることではなく、本人が語る実際の言葉から入社理由を正確に把握することです。

伝える目的に合わせて撮影する場面を選択する
求める人物像と入社理由が明確になったら、その魅力が伝わる具体的な撮影場面を決定します。日常の働き方を理解してほしい場合は1日の密着取材、成長環境を伝えたい場合は社員のキャリアの変遷に関するインタビュー、組織の価値観を示したい場合は社内会議や社員同士のやり取りが候補となります。
単に「密着動画を制作する」と撮影形式を先行して決めるだけでは十分ではありません。その映像を視聴することで、候補者のどのような疑問や不安が解消されるのかまで検討します。年収や役職を紹介する場合も、数字や肩書という結果だけでなく、そこに至るまでの業務内容や担っている責任を映すことで、候補者は入社後の自身の姿を具体的に想像できるようになります。

企業をまだ知らない候補者が視聴を始める理由を用意する
採用候補者であっても、選考の初期段階から企業に対して強い関心を持っているとは限りません。動画の冒頭から企業理念を長々と説明してしまうと、候補者は理念の背景を理解する前に視聴を中断してしまう恐れがあります。
動画内では、出演者の朝の習慣や業務中の意外な一面など、出演する社員を事前に知らなくても興味を持てる場面から導入し、その後に働き方や企業の理念へと展開する構成が紹介されています。過度な演出を加えることが目的ではありません。「この業務はどのように進めるのか」「この社員はなぜこの仕事を続けているのか」という疑問や関心が自然と湧く場面を撮影します。
そのうえで、仕事の魅力だけでなく、業務上の難しさや大変な側面も率直に伝えます。目標に届かず苦悩した時間や、業務を習得するまでに経験した苦労があるなら、それらも企業を正しく理解するための判断材料となります。映像の中で理想的な職場環境だけを切り取って見せてしまうと、入社後に生じる期待と現実のずれにつながる懸念があります。

公開後は選考工程に組み込んで効果を確かめる
完成した動画は、採用サイトへの掲載、面接前の事前案内、内定後の質疑応答の補足資料として活用できます。採用担当者が候補者へ動画を案内する際も、単に「視聴してください」と伝えるだけでなく、日々の働き方を確認してほしいのか、社員の入社理由を参考にしてほしいのかという確認意図を添えて伝えます。
動画の効果を測定する際も、YouTube上の再生回数だけで成果を判断してはいけません。視聴した候補者が企業への理解をどこまで深めたか、面接でどのような質問が出るようになったか、選考辞退の理由に変化があったかを確認します。動画を視聴した候補者と視聴していない候補者の選考結果を比較する場合は、応募経路や選考時期の違いによる影響も考慮して記録を残す必要があります。
制作した1本の動画を実際の選考で活用しながら、候補者へ伝えるべき不足情報を見つけ出します。その見つかった情報を次の動画の企画に反映していくことで、動画の制作本数を増やす明確な理由が生まれます。
最初の1本を企画書にまとめる手順
採用担当者は、動画の撮影を依頼する前に次の項目を1枚の企画書にまとめます。以下は編集部が整理した企画書の記入例であり、特定企業の実績ではありません。
| 決める項目 | 営業職を採用する場合の記入例 |
|---|---|
| 見てほしい人 | 法人営業の経験があり、提案の進め方を知りたい候補者 |
| 視聴後に分かってほしいこと | 誰に何を提案し、どこまで自分で判断する仕事か |
| 撮影する場面 | 商談準備、社内相談、提案後の振り返り |
| 出演者 | 募集職種の実務と、入社後の経験を説明できる社員 |
| 動画の案内先 | 求人ページと面談日程の案内メール |
| 確認する結果 | 候補者が仕事内容をどう理解したか、面接で何を質問したか |
採用担当者は、企画書に「若手が活躍」とだけ書くのではなく、若手社員が担当する業務と上司が支援する範囲を具体的に書きます。社外秘などの理由で撮影できない業務がある場合は、出演者の説明や公開可能な資料で補えるかを、動画の制作担当者と相談します。
候補者への案内方法を考える際は、ACT-Rが面談の前後で採用動画を案内した事例も参考になります。動画の内容を制作するだけでなく、候補者にどの場面で届けるかという手順もあわせて決めることが重要です。
自社の採用や集客への動画活用を検討する
One Repでは、企業の目的に合わせたYouTubeの企画・制作・運用を支援しています。自社の採用課題や、動画で何を伝えるべきかが整理できていない初期の段階からご相談いただけます。
出典:YouTube採用最高chの元動画。公開動画の内容をもとに、One Rep編集部が論点と実務での確認事項を整理しました。実績・評価は動画内で紹介された時点のもので、同じ成果を保証するものではありません。
