密着動画は、撮影日を確保するだけでは完成しません。事前の調査や素材の整理、編集、社内確認までを見据えて計画を立てておかないと、特定の担当者に業務の負担が集中してしまいます。無理なく継続できる制作体制について、工程ごとに整理して解説します。
制作期間は、撮影以外の作業工程も含めて計画する
企画の決定、出演者との日程調整、撮影、編集、内容の確認、公開準備のそれぞれにおいて、担当者の作業時間が必要です。撮影日だけをスケジュールに組み込み、映像の確認や修正作業を「空いた時間」で進めようとすると、公開の遅れにつながりやすくなります。
密着する時間の長さや編集の作業量は、企画の内容によって異なります。ほかの動画の所要時間をそのまま当てはめるのではなく、撮影に必要な場面や確認すべき範囲を踏まえて、自社の制作計画を立てることが大切です。
社内の担当者と、動画の制作担当者で役割を分担する
社内の担当者は、採用したい人物像や事業の背景、公開できる現場の状況を把握しています。一方で動画の制作担当者は、その情報を視聴者へわかりやすく伝える企画や映像に落とし込む役割を担います。
どちらか一方にすべての判断や作業を任せるのではなく、「必要な情報をいつ提供し、誰が最終判断を行うのか」を事前に決めておきます。社内の確認窓口を一本化し、複数の部署から個別に修正指示が出る状態を避けることで、動画の趣旨がぶれにくくなります。

撮影前に、撮影すべき場面と業務上の制約を共有する
採用担当者や動画の制作担当者は、まず出演者の一日の業務予定を確認し、企画の目的に合わせて撮影すべき場面を選びます。顧客対応や社内会議を撮影する場合は、社外へ公開できる情報の範囲もあらかじめ整理しておきます。
撮影現場では予定外の出来事も起こります。事前に「視聴者へ何を伝えたいのか」という目的を共有しておけば、状況が変化しても、制作担当者が何を優先して撮影すべきかを判断しやすくなります。
初稿の確認では、事実関係の確認と演出の検討を区別する
固有名詞や数値の誤り、公開できない情報の有無、発言の文脈などは、「内容の正確さ」として社内で確認します。一方で映像のテンポや構成の順序などは、動画の狙いが候補者や視聴者へ意図通りに伝わるかという視点で検討します。
個人の好みだけで修正を重ねると、動画本来の目的から外れてしまうことがあります。社内から修正を依頼する際は、「どの視聴者に、何が伝わりにくいのか」という具体的な理由を添えることで、動画の制作担当者も修正の意図を正確に理解しやすくなります。
公開後の活用と振り返りまで、担当者を決めておく
動画を公開した後も、採用候補者や営業先への案内、視聴者の反応の確認といった作業が発生します。動画の制作に関わった担当者だけでなく、現場で実際に動画を活用する採用担当者や営業担当者からも意見を集めます。
次の一本を制作する前に、今回の制作にかかった時間と、実際に動画を活用できた場面を確認します。動画の品質を保ちながら継続していくためには、公開する目標本数を決めるだけでなく、社内と制作側の双方が無理のない負荷で判断できる進行の流れをつくることが大切です。
社員密着動画の制作前に役割分担と完了条件を決める
動画の制作担当者と社内の採用担当者は、以下の分担表を使って業務の抜け漏れを確認します。
| 工程 | 社内で担当すること | 制作側で担当すること |
|---|---|---|
| 企画 | 募集職種、伝える情報、出演候補者を共有する | 撮影場面と質問案を整理する |
| 撮影準備 | 日程と撮影可能な業務を確認する | 必要な機材と進行を準備する |
| 編集確認 | 事実関係、業務上の役割、非公開情報の有無を確認する | 文脈を保ち、修正内容を映像に反映する |
| 公開準備 | 案内先と最終確認者を決める | 公開用の動画と画像を整える |
社内の担当者は「確認済み」という記録だけでなく、誰がどの項目を確認したかまで記録を残します。また、動画の制作担当者へ送る修正依頼は社内で事前に1つにまとめ、異なる担当者から矛盾した指示が届かないように調整します。継続的な外注体制については、動画制作の担当と工数の決め方で解説しています。
自社の動画活用を相談する
One Repでは、採用や集客の目的に合わせた動画の企画、制作、運用を支援しています。現在行っている情報発信の見直しや、最初の一本の企画からご相談いただけます。
文・編集:One Rep編集部。関口楽の原稿をもとに、企業の動画活用について解説しています。
