社内イベントや代表メッセージを動画にまとめて発信しても、会社を初めて知る視聴者には関心を持ってもらえないことがあります。すでに会社を知っている人と、まだ社名すら知らない人とでは、動画を見る理由が異なるためです。採用動画を届けるには、視聴者の理解の深まり方に合わせて情報を伝える順序を整理する必要があります。
冒頭で視聴者が動画を見続ける理由をつくる
採用動画を企画する際は、視聴者が最初から会社に興味や好意を持っていることを前提にしない姿勢が大切です。仕事の意外な手順、思わず気になる疑問、出演者が業務中に下した判断など、会社名を知らなくても視聴者が「続きを見たい」と感じる場面を動画の冒頭に選びます。
視聴者の関心を引くために、動画の本筋と関係のない演出や刺激を加える必要はありません。冒頭で提示した疑問に対して、動画の中で過不足なく答えを提示できている構成が重要です。
興味を持った視聴者へ、具体的な仕事の情報を伝える
動画を見始めるきっかけを作ったあとは、仕事内容や働く環境、周囲の社員との関わりを具体的に伝えていきます。抽象的な説明だけで終わらせず、実際の作業風景や同僚との会話の様子を組み合わせて見せると、視聴者は業務の様子を具体的に把握しやすくなります。
候補者が求めている情報は、「入社後に自分がどのような業務を担当するのか」です。出演者の人柄や優秀さという印象だけで終わらせず、仕事を進める手順やその職種に求められる役割まで伝わるように内容を構成します。

企業の理念や思いを行動の実例と結びつけて語る
理念や将来の目標といった抽象度の高い内容は、具体的な仕事内容を把握したあとに聞いたほうが、視聴者が実感を持って納得しやすくなります。なぜその事業を行っているのか、どのような仲間と何を実現したいのかを、映像で見せた実際の業務や行動と結びつけて語ります。
この「興味・情報・思い」という順序は、動画の時間配分を一律に固定するものではありません。動画全体の流れに応じてこれらを行き来しながら、候補者が自社への理解を深められる構成を組み立てていきます。
1日の出来事を撮影順に並べるだけにしない
社員への密着動画は、時間の経過に沿って構成を組み立てやすい形式です。しかし、撮影した映像を単に時間の流れのまま並べるだけでは、企業側が伝えたい意図が候補者に届きにくくなります。候補者が抱く疑問に答えられる場面を厳選し、前後の因果関係や文脈を整理して見せることが大切です。
編集の都合で事実と異なる結論へ誘導したり、前後の文脈が異なる場面をつなぎ合わせて別の出来事に見せかけたりするのではなく、現場で起きた文脈を誠実に保ったまま、視聴者が理解しやすい順序に整えます。
企画段階で視聴者が動画を見る理由と見終えた後の行動を言語化する
撮影を始める前に、制作担当者や採用担当者は「初めて見る人が再生する理由」「見終えた時点で候補者に理解していてほしいこと」「視聴後に促したい次の行動」を言語化しておきます。動画の結び方は、採用サイトの閲覧を促すのか、仕事内容を掘り下げた別の動画を案内するのか、あるいは応募や問い合わせへ進んでもらうのかによって異なります。
動画を公開したあとは、視聴者がどこまで再生を続けたかを示すデータと、面談などで候補者から得られた反応を照らし合わせて検証します。仮に冒頭で関心を持ってもらえていても、業務の理解に必要な情報まで届かずに途中離脱されている場合は、構成を見直す必要があります。採用動画の構成は制作側の都合ではなく、候補者の理解の進み方に合わせて改善を重ねていきます。
営業職の密着動画を構成する場合の例
以下は編集部が作成した構成例です。動画の長さや採用の成功を保証する型ではありません。
| 順序 | 見せる場面の例 | 視聴者に伝えること |
|---|---|---|
| 興味を引く | 提案に悩み、社員同士で相談する場面 | この仕事にはどのような判断があるか |
| 仕事を説明する | 準備、商談、振り返り | 一日の流れと担当業務 |
| 思いを伝える | なぜその提案を選んだかを本人が話す | 仕事で大切にしている考え |
| 次の行動を案内する | 求人情報や相談先を示す | 募集条件をどこで確認できるか |
動画の制作担当者は、冒頭だけに派手な場面を使わず、本編で説明する業務内容につながる場面を選びます。会社説明会で動画を使う場合と、初めて会社を知る候補者向けに公開する場合では、事前に必要な説明が異なります。そのため、担当者は動画が視聴される場面に合わせて構成の順序を調整します。
自社の採用動画活用を相談する
One Repでは、採用や集客の目的に合わせた動画の企画、制作、運用を支援しています。既存の発信内容の見直しや、最初の1本となる企画の検討からご相談いただけます。
文・編集:One Rep編集部(One Rep取締役の関口楽の既存X向け原稿をもとに、企業サイト向けに再編集しました。元原稿に含まれる個別実績のうち、集計条件や一次資料を確認できない数値は掲載していません)
参考:同テーマの関口楽のX記事。
