文字を大きくしたり、目立つ色を使ったりするだけでは、視聴者にクリックされるサムネイルになるとは限りません。制作担当者は、動画のどこに視聴者が興味を持つのかを考え、その内容がスマートフォンの小さな画面でも伝わるように、サムネイルの言葉と写真を選びます。サムネイルの制作は、その見どころの判断から始まります。
動画の見どころを書き出し、最も関心を引く要素を1つ選ぶ
サムネイルの限られた面積に、動画のすべての情報を盛り込むことはできません。動画の制作担当者は、まず動画の内容を振り返り、出演者の経験、仕事の特徴、意外な場面、視聴者が知りたくなる疑問などを書き出します。
参考とした動画(YouTube採用最高ch)のなかで、One Rep取締役の関口楽は、動画の内容から特に強い見どころを1つ選ぶ重要性を説明しています。たとえば社員への密着動画を作る場合でも、早起きの様子や年収の公開が常に正解とは限らず、その出演者ならではの仕事や経歴を取り上げたほうが視聴者の関心を引くこともあります。
ここで選ぶべき要素は、企業が最もアピールしたい情報とは限りません。想定している視聴者が「なぜだろう」「どうやって達成したのだろう」と興味を抱き、動画を再生することでその答えを得られる要素を選定します。
市場調査では、反響のある言葉の背景にある関心を分析する
参考となる動画を探すときは、同じテーマを扱った人気動画を見るだけでなく、チャンネル登録者数に対して再生回数が多く伸びている動画も候補に入れます。ただし、この比率だけで再生された原因や自社での再現性が証明されるわけではありません。公開された時期や出演者の知名度も合わせて確認します。
複数の動画に共通して使われている言葉が見つかったら、制作担当者はその言葉を自社でそのまま使う前に、どのような視聴者がどのような気持ちで動画を見たのかを考えます。たとえばお金に関する話題であっても、個人の年収に対する関心と、企業の売上に対する関心は同じではありません。視聴者の職業や目標によって、伝わりやすい言葉は変わります。
市場調査で参考にするのは、文字の配置などの表面的なデザインではなく、視聴者が興味を持った理由です。表面的な模倣を避けるためにも、自社の動画がその視聴者の期待に応えられる内容になっているかを確かめます。

自社の動画内容と照らし合わせて、訴求する言葉を決める
市場で注目されている要素が把握できたら、今回の動画にどのような事実や素材が含まれているかを照らし合わせます。競合他社の動画で大きな実績の数値が使われているからといって、自社にも同じ見せ方が適しているとは限りません。
動画に含まれていない誇張した言葉を無理にサムネイルへ使うと、クリックして動画を開いた視聴者の期待を裏切ることになります。制作担当者は、動画内で実際に話されている具体的な内容のなかから、独自性があり、視聴者にとって価値のある要素を選びます。
実績や数字をサムネイルに入れる際も、数値の大きさだけで選ぶのではなく、何の数字であるかが一目で分かるように記載します。企業の売上と個人の年収、会社全体の実績と個人の成果を混同させない配慮は、企業の信頼性を保つためにも必要です。
小さい画面サイズで確認し、動画の内容を知らない第三者に見せる
制作担当者はパソコンの大きなモニターで長時間サムネイルを見て作業をします。一方で、視聴者はスマートフォンの画面に並ぶ一覧のなかから、短時間で動画を選んでいます。制作画面では読み取れる文字であっても、実際に表示されるサイズでは情報が多すぎて読めないことがあります。
最も伝えたい言葉と写真が、縮小された状態でも伝わるかを必ず確認します。細部までじっくり読み込まなくても、何についての動画で、どこが注目点なのかが直感的に伝わる状態を目指します。
さらに、動画の内容をまだ知らない社内の同僚や第三者にサムネイルを見せ、何についての動画だと感じたかを質問します。「クリックしたいかどうか」を尋ねるだけでなく、視聴者が「どのような内容を期待して動画を開くか」まで確認することで、サムネイルと本編の内容とのずれを事前に発見しやすくなります。
公開後は型を固定せず、数値の変化をもとに検証する
One Rep取締役の関口楽は動画内で、過去に成果が出た型をそのまま使った結果、再生回数が伸びなかった密着動画の事例を紹介しています。その事例では、サムネイルの言葉を動画本来の見どころに合わせて見直し、その後のクリック率やインプレッション数(表示回数)の変化を確認したと述べています。
ただし、変更前後の再生回数だけでサムネイルの改善効果を断定することはできません。公開からの経過日数や、YouTube上で表示される場所(おすすめ欄や検索結果など)も変化するためです。変更した日時と修正内容を記録に残し、インプレッション数、クリック率、視聴者がどこまで見続けたかを合わせて確認します。
クリック率には、すべての動画に共通する明確な合格基準があるわけではありません。YouTubeの公式説明でも、視聴者の属性や表示場所などによって変動する指標とされています。自社の過去動画のうち、テーマや公開条件が近い動画と比較しながら、動画を開いた後の視聴者が期待どおりに視聴を続けているかを確かめます。
過去に成功したデザインの型を守ることにとらわれず、その動画が持つ固有の魅力が現在の視聴者に正しく届いているかを定期的に見直すことが、サムネイルを継続して改善していくための基本です。


制作時は「見どころ・言葉・写真」の順に案を比較する
動画の制作担当者は、最初から文字の装飾を作り込まず、動画本編の中で答えを提示できる疑問を一つ選びます。次の表は、編集部による説明用の案であり、実際の企業の成果を示すものではありません。
| 制作の段階 | 担当者が行うこと | 確認する点 |
|---|---|---|
| 見どころを選ぶ | 取材内容から、視聴者が知りたい事実を選ぶ | 動画内にその説明があるか |
| 言葉を決める | 「営業職の一日」など、対象と内容が分かる言葉にする | 誰の何についての動画かが伝わるか |
| 写真を選ぶ | 本人の表情や、話題に合う仕事の場面を選ぶ | 文字と写真が同じ内容を伝えているか |
| 縮小して比べる | 複数案をスマートフォンの一覧に近い大きさで見る | 文字を読み込まなくても主題が分かるか |
| 本編と照合する | タイトル、サムネイル、冒頭を続けて確認する | 視聴者に約束した内容へ自然につながるか |
写真の明るさや出演者の表情が良くても、動画本編で扱っていない結果を連想させる案は採用しません。制作担当者は、採用した案と見送った案、そしてその判断理由を記録しておきます。動画の公開後にクリック率が変化した際、どの要素を変更したのかを検証できるようにするためです。
画像の作成や設定に関する仕様は変更される可能性があるため、YouTube公式のサムネイル設定方法をご確認ください。
自社の採用や集客における動画活用を検討されている方へ
One Repでは、企業の目的に合わせたYouTubeの企画・制作・運用を支援しています。自社の課題や、動画で誰に何を伝えるべきかが整理できていない段階からでもご相談いただけます。
出典:YouTube採用最高chの元動画。公開動画の内容をもとに、One Rep編集部が論点と実務での確認事項を整理しました。実績や評価は動画内で紹介された時点のものであり、同じ成果を保証するものではありません。
参考:同テーマの関口楽のX記事。
