同じ業界で再生されている動画を真似して制作したものの、自社では期待した成果が得られないことがあります。そのようなときは、参考にしたチャンネルが自社と同じ目的で運用されているかを確認してみてください。競合調査は、単に似た動画を探すだけでなく、「なぜ自社の参考にできるのか」という理由を確かめる作業です。
提供している商品・サービスと、集めたい対象者を確認する
業種が同じであっても、個人向けに商品を販売する企業と、法人からの問い合わせ獲得を目指す企業とでは、動画へ集めるべき視聴者が異なります。採用を目的とするチャンネルであっても、募集する職種によって伝えるべき内容は変わります。
まずは、動画の概要欄や誘導先のWebサイトを確認し、運営者が何を販売し、視聴者をどのような行動へ案内しようとしているかを把握しましょう。動画のテーマだけでなく、運用の目的や想定する顧客像が近いチャンネルを選ぶことで、調査結果を自社へ応用する際の判断がしやすくなります。
再生数とチャンネル登録者数は、候補を探す手がかりとして扱う
チャンネル登録者数に対して多く再生されている動画は、調査対象の有力な候補になります。ただし、再生数を登録者数で割った倍率だけでは、どのような属性の人が何回視聴したのか、また、どのような要因で再生数が伸びたのかまでは判断できません。
動画の公開からの日数、出演者の知名度、ほかのSNSや媒体での紹介の有無などもあわせて確認します。「再生数の倍率が高い」という測定された事実と、「そのテーマに強い需要がある」という推測に基づく仮説を明確に分けて記録することが重要です。

共通して使われる言葉を見つけたら、視聴者の疑問や関心を掘り下げる
複数の類似動画で同じキーワードが多く使われているからといって、その言葉を自社の動画へそのまま取り入れるだけで成果につながるとは限りません。なぜ視聴者がその言葉に興味を持つのか、どのような情報を知りたくて動画を開くのかまで掘り下げて考える必要があります。
タイトルやサムネイルの文言、動画冒頭のトーク、コメント欄の内容をあわせて確認し、視聴者の期待と動画の構成がどのように対応しているかを分析します。言葉の表面だけをなぞるのではなく、視聴者が知りたいことや関心の理由を捉えることで、自社の状況に合った別の表現方法も選べるようになります。
参考にする構成の型と、自社独自で発信できる情報を区別する
「社員の一日密着」といった動画の形式や構成は参考にできますが、出演者の職歴や業務内容そのものを真似することはできません。自社に存在する情報や状況を整理し、どの要素を活用すれば視聴者の疑問に答えられるかを検討します。
他社の動画から取り入れる構成と、自社ならではの情報を加える部分を明確に整理します。現場の実務に関する具体的な説明、日々の作業手順、過去に失敗した経験など、視聴者の理解を深める自社ならではの内容を盛り込むことで、同じテーマを自社で発信する意義が生まれます。
調査結果を企画の判断に使える形式で記録する
調査した動画のURL、確認日、参考にした理由、自社の企画へ活用できる要素をひとまとめにして記録を残します。再生数だけを並べた一覧では、後から企画を検討する担当者が制作の判断理由を引き継ぐことができません。
企画案を作成した後は、調査の段階で整理した「視聴者の疑問」にしっかりと答えられる構成になっているかを検証します。単に調査シートの項目を埋めることではなく、「自社でどのような動画を制作するか」を判断できるようにすることこそが、競合調査の実務における役割です。
競合調査を企画に使うための記録項目
動画の調査担当者は、参考にする動画ごとに次の項目を記録します。
| 記録する項目 | 調べる目的 |
|---|---|
| 動画URLと確認日 | 後から同じ動画を確認できるようにするため |
| 紹介されている商品・対象顧客・案内先 | 自社が集めたい視聴者層と近いかを確かめるため |
| 公開日・動画尺・再生回数 | 公開条件の違いを把握するため |
| タイトルとサムネイルの内容 | 視聴者が何を期待して動画を再生するかを考えるため |
| コメント欄に寄せられた疑問 | 自社の動画で補足できる情報を探すため |
| 自社で撮影できる場面 | 調査結果を自社の具体的な企画に落とし込むため |
競合動画のクリック率や視聴維持率は、一般に公開されているページだけでは通常確認できません。そのため、担当者は公開されている再生回数からこれらの数値を推測して逆算せず、「確認できた事実」と「視聴された理由の仮説」を分けて記録します。
自社の動画活用を相談する
One Repでは、採用や集客の目的に合わせた動画の企画、制作、運用を支援しています。現在行っている情報発信の見直しや、最初の1本の企画立案からご相談いただけます。
文・編集:One Rep編集部。関口楽の原稿をもとに、企業の動画活用について解説しています。
