YouTubeの企画が出てこないとき、動画の担当者が同業の人気動画を眺め続けても、似た案ばかりになってしまうことがあります。必要な対応は、見たものをそのまままねることではなく、なぜ面白いと感じたのかを言葉にして、自社の仕事内容や社員の経験と組み合わせることです。
One Rep取締役の関口楽がX(旧Twitter)で公開した企画づくりの振り返りには、「ものを複数の特徴に分ける」「共通点から別の分野へ連想する」「動いた感情を分解する」という考え方が登場します。この記事では、その発想法を企業の経営者や採用担当者、動画の制作担当者がYouTube企画に活かす手順として整理して解説します。
テーマを一つのジャンル名だけで捉えない
動画の制作担当者が「社員密着」や「会社紹介」といったジャンル名だけで考えると、企画の範囲が狭くなります。まずは、映像に映る社員や仕事をいくつかの特徴に分けて書き出します。
関口の元記事では、対象を見たときの外見や匂い、雰囲気などの特徴が連想の起点になると説明されています。企業の企画でも、「営業職」という肩書きだけで捉えるのではなく、初対面の商談で見せる緊張、判断の速さ、資料準備の細かさ、顧客の反応などに目を向けると、動画で扱える話題が増えます。
この段階では、担当者が無理にタイトルを完成させる必要はありません。社員本人にしか語れない経験、現場で実際に起きている出来事、社外の視聴者が意外に感じそうな事実を並べていきます。動画の制作担当者が想像で魅力を足すのではなく、事前の取材で確認できる材料を集めることが大切です。
共通する特徴から、別のジャンルの表現を見に行く
特徴を洗い出したら、制作担当者は同じ特徴を持つ別分野のコンテンツを探します。関口の元記事では、「教える」「説教する」という共通点から、異なるジャンルへ企画の発想を広げる例が挙げられています。
たとえば社員の仕事の手順を見せたい場合、同業他社の会社紹介だけでなく、料理や修理のように工程を順に見せるコンテンツも参考になります。視聴者にとってどの順番なら理解しやすいか、どのタイミングで疑問を投げかけるかといった構成の組み立て方を学べます。
ただし、参考にする対象は表現の仕組みです。他社の企画名や映像表現をそのまま借りたり、自社の出演者の個性を他社と同一に見せたりする必要はありません。自社の仕事内容に置き換えたときにも、視聴者の関心が続く構成になっているかを確かめます。

「面白かった」という感想で終わらせず、心が動いた理由を分ける
動画の制作担当者は、気になる動画を見た際、どの瞬間に自分の気持ちが動いたのかを振り返ります。展開に驚いたのか、懐かしさを覚えたのか、業務に役立つと感じたのかを考えます。視聴者が抱く感情の種類によって、次の企画に活用できる要素は異なります。
関口の元記事では、青春を描く広告を見て、過去の記憶や憧れがどのように重なるかを分解しています。これは広告主の意図を客観的に証明した説明ではなく、関口自身が受け手として考えた仮説です。
社内の企画会議でも、担当者は主観的な感想と客観的な事実を分けて記録します。「この場面で視聴者のコメントが増えていた」という記録は確認できる事実ですが、「視聴者は全員ここに感動した」と結論づけるのは飛躍です。動画の制作担当者が感じた理由を仮説として設定し、実際のコメントや社員へのインタビューでの反応と照らし合わせて検証していきます。
意外さと、視聴者への伝わりやすさが両立する点を探す
珍しい要素を足すだけでは、視聴者にとって何を見せたい動画なのかが分からなくなります。一方で、視聴者の予想どおりの説明だけで進めると、動画の続きを見る理由が弱くなります。
関口が元記事で繰り返し述べているのは、「視聴者が理解できる範囲に意外さがある」という考え方です。企業の動画であれば、「どうしてその業務の進め方をするのか」という疑問を動画の冒頭で提示し、社員の実際の仕事や判断の様子を通して答えを見せる構成にできます。
大切な基準は、その意外な要素が、候補者や視聴者による会社の理解につながっているかどうかです。動画の冒頭で関心を集めても、見せた内容が実際の仕事内容や会社の価値観と結び付かないのであれば、採用動画としては必要な説明が不足してしまいます。冒頭で視聴者の興味を引く工夫と、見終わった後に候補者に理解してもらいたい業務情報をセットで設計します。
実際に撮影できる具体的な場面まで落とし込んでから、企画を選ぶ
発想した企画案は、動画の制作担当者が「誰が」「どこで」「何をしている場面」を撮影するのかまで具体化します。たとえば「若手社員の成長」をテーマとして扱うなら、現在の業務成果だけでなく、先輩への相談、業務の振り返り、作業手順を覚える場面など、成長の過程が映像として確認できる具体的な場面が必要です。
社員本人の経験を取材する前に、制作担当者が苦労話や感動的な結末を決めつけてしまわないように注意します。取材で確認できた事実が最初の仮説と異なる場合は、判明した事実をもとに動画の構成を変更します。
企画の引き出しは、日常で気になったコンテンツと、その理由を記録しておくことで増やせます。企画の名前を覚えるだけでなく、自分がどの要素に反応したのかを分けて捉える姿勢が重要です。その分析から自社の現場にある事実へと視点を戻すことが、自社ならではの企画を考えるための出発点になります。
別分野の面白さを自社の企画へ変える例
以下は編集部が作成した説明用の例です。特定の動画の成果を再現すると約束するものではありません。
| 検討の段階 | 営業職の動画に置き換える例 |
|---|---|
| 面白さの要素を分ける | 失敗した後に、判断を変えてやり直す過程に興味を持った |
| 自社の仕事から題材を探す | 提案が通らなかった案件の振り返りを扱う |
| 視聴者が抱く疑問を決める | 何が足りず、次の提案で何を変えたのかを提示する |
| 撮影できる場面を選ぶ | 公開可能な範囲で、担当者と上司が振り返る場面を撮影する |
| 企画として成立するか確かめる | 判断の変化を説明でき、必要な場面を撮影できるか確認する |
動画の制作担当者は、他の動画の台本や映像を複製するのではなく、自社に実際にある経験を題材にします。抽象的な企画名だけで採用を決めず、誰が何を話し、どの場面で説明するかまで具体化してから制作を進めます。
YouTubeの企画・運用について相談する
One Repでは、企業の目的に合わせた動画の企画・制作・運用を支援しています。
出典:関口楽のX記事。元記事の考え方をもとに、One Rep編集部が企業向けの実務として整理しました。
